内容説明
国文学者・折口信夫のもとに、一通の手紙が届いた。差出人の貴宮多鶴子によると、貴宮家に代々伝わる『源氏物語』は、従来の五十四帖のものと異なり、十七帖しかないという。これは『源氏物語』の原型といわれる『原・源氏物語』なのか? 折口の指示により貴宮家に出向いた若き国文学徒・角川源義は、源氏千年の歴史に、日本国家を揺るがす驚愕の事実が隠されていることを知る! 『源氏物語』多作者説の裏付けとなる『原・源氏物語』の存在を巡り交錯する謎。長編歴史ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウィック&ぺディ
15
★★★★☆2019/04/24
TheWho
10
舞台は大戦前夜、民俗学者折口信雄の弟子で、後の角川文庫創設者角川源義を主人公に、源氏物語の原書の存在を伝える手紙を切っ掛けに解き明かされる日本史の闇と日米諜報戦が絡んだ歴史ミステリー。物語は、和辻哲郎の源氏物語多作者論を下敷きに、南朝の末裔と三種神器、足利義満の皇統奪取論、そして日本軍部と米英諜報機関との諜報戦が絡み合い壮大な歴史ミステリーに仕上がっている。とにかく面白い展開で一気読みであった。著者独自の歴史解釈が爆裂したお薦めの歴史ミステリーです。2017/04/18
誰かのプリン
5
源氏物語多作者論から足利義満、太平洋戦争まで展開した欲張りな小説だ。薀蓄やら推理やら、読者を飽きさせない。2016/07/14
ロバくん
3
源氏物語が好きで読んでみました。 源氏物語多作者説に関するミステリーと思いきや、まさかの、そして規模の大きな展開となりました。 そして小説なのですが、歴史ものであり、実在の人物が登場したりとフィクションの部分のノンフィクションの部分の区別が分かりませんでした。 なにげなく読んだのですが、随分その内容に引き込まれました。 面白かった。 この著者の他の作品も読んでみたい。2016/06/05
冬至楼均
3
いろいろな意味で角川でないと書けない作品。2012/04/07