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内容説明
かつて世界で「民主主義のモデル」として賞讃されたイギリス政治。だがそれはいまや機能不全に陥り、ブレグジット(Brexit)=EU離脱という事態へと立ち至った。イギリスがこのように「分解」への道をひた走っている真の原因はいったいどこにあるのか。安定→合意→対立→分解へと進んできた現代イギリス政治の流れを俯瞰し、すでにモデルたり得なくなった英国政治の現状をつぶさに考察。混迷をきわめる現代政治のシステムと民主主義モデルの、今後あるべき姿を問いなおす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
43
2017年刊。BREXITを受けて、イギリスの議会政治について、ウエストミンスター・モデルと言われる多数決型の民主主義体制が、如何に形成され、変容し、そして分解しつつあるかということを、丹念な記述とデータの分析、先達の理論の咀嚼によって丁寧に説明している。その後を知っている者からすると、イギリスはますます混迷の度合いを深めている印象だが、本書の与えてくれる視座は極めて有用。しかし、政党横断的なEU離脱の是非を国民投票という「劇薬」で対処(キャメロンは残留派)し損なったダメージの大きさがうかがえる。2019/10/05
coolflat
22
イギリスと言えば、保守党と労働党の二大政党というイメージがある。競争と安定を理想とした民主主義、「決められる政治」、この『ウェストミンスターモデル』と呼ばれるイギリス型民主主義は今、イギリスで崩壊しつつある。これを表面化させたのはブレグジットだった。ところで、二大政党制をとると、例えば二大政党である保守党と労働党の政策に余り違いがなくなるという状態が起こる。政策に違いがないとなると、有権者に選択肢はなくなる。それでイギリスでは何が起こったかというと、投票率の低下と多党化(小選挙区制でありながら)が起こった2017/11/09
樋口佳之
17
立ち位置鮮明なみかこ氏の本を読んだので、一般的にはどう論じられてるのかと読みました。/EUの持つ問題の大きさって日本人にはそもそも想像できないじゃないかと感じる内容でした。/しばしば書かれる国有化=社会主義政策話には閉口2017/11/06
あんころもち
14
EU離脱に呆れる人がおそらく大勢いたように、スコットランド独立運動など、本当にイギリスが民主主義のモデルなのか疑わせるような事件が相次いでいる。本書の眼目は、そのようなイギリス政治の揺らぎの歴史を理論的に説明してみせたことにある。つまり、イギリス政治の特徴を、議会主権、小選挙区制、二大政党制、政党の一体性、執政(首相のこと)優位、単一国家(中央集権)として捉え、それらが歴史の中でどのように変貌していったのかを明らかにしている。2017/08/08
Francis
14
前著「社会民主主義は生き残れるか」が面白く、そして本屋さんで手に取ってみてこちらも面白そうなので購入した。EU離脱国民投票で明らかになったイギリス民主主義の現状を分かりやすく読み解いている。この本上梓後の6月総選挙でメイ党首の保守党のまさかの過半数割れ、コービン党首の労働党の大躍進、投票率と保守・労働二大政党の得票率が上昇するという結果となったが、この結果が果たしてイギリス民主主義の再生につながるだろうか。今後も目が離せそうにない。2017/06/25