内容説明
心が救われる、最強のブックガイド。
1900年前のローマ皇帝が綴った孤独から、ドストエフスキーの描いた嘘、カフカの渇望、そして村上春樹の自画像、角田光代の家族、吉田修一の恐怖まで、最近出版された本と、古典と呼ばれるものを2冊併せ読む書評エッセイ。『セックスボランティア』で鮮烈なデビューを飾り、『ウスケボーイズ――日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞を受賞した著者の、人間の深部を見つめる鋭い視点で、100冊の名著の魅力が語られる。
「古代から書かれ、読まれ、受け継がれてきた本。いつもそこには同じ絶望を持った人がいる。人が生まれ、絶望し、希望を持ち、死んでいく。幾億回繰り返されてきたその営みに、私たちは支えられている。間違いなく、絶望に効く何よりの特効薬は本である。ようこそ、絶望に効くブックカフェへ」(「はじめに」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
70
最近出版の本と、古典の2冊併せ読む書評エッセイ(例外あり)。『セックスボランティア』の著者らしく、人間の深部を見つめる鋭い視点で、100冊の本の魅力が語られる。著者は「はじめに」で、<どんなに絶望しようと、どんなに孤独な人であっても、私たちは本当の意味でひとりではない。古代から書かれ、読まれ、受け継がれてきた本。いつもそこには同じ絶望を持った人がいる。人が生まれ、絶望し、希望を持ち、死んでいく。幾億回繰り返されてきたその営みに、私たちは支えられている。間違えなく、絶望に効く何よりの特効薬は本である>と。⇒2022/07/14
おいしゃん
39
長いことかけて、少しずつその日の気分に合わせた章を開いていった。孤独、希死念慮、人間関係、理不尽…そういった気持ちの整理になるような本が、テーマごとにたくさん紹介されている。ここにある本を実際に読めればもちろん良いが、自分の支えになってくれそうな本がこれだけたくさんある、ということを知れただけでも、充分な支えになりそうだ。2022/08/25
ゆなほし
38
孤独、死にたい、人間関係、恋愛、家族の絆、不条理の苦しみ、逃避願望の7つの分野別に効く本を著者の体験と交えながら紹介する「ブックカフェ」本。元来、私は絶望していてもしていなくても常に本を読んできたが、本書を読んでやはり絶望に効く1番の特効薬は本だと痛感した。本書で分野分けされているように絶望にも様々あるが、それぞれに紹介されている本を生涯のうちに全て読むことはおそらくない。だから本書のような紹介本でその本を間接的にでも読むことが出来たのは、きっと今後の人生において有益なものになるだろうと思う。2019/09/04
あつこんぐ
37
図書館本。思ったよりも暗くて重い感じがしましたが読み応えはありました。 自分では手に取らない本がたくさん紹介されていて読みたい本をメモしましたが、本当に絶望している時はしんどすぎてちょっと読めないかもですね…。そして、1番驚いたのは佐野洋子さんと谷川俊太郎さんが夫婦だったことです。世の中まだまだ自分の知らない事が多いなぁと思いました。著者の事を調べていたら興味をひく本があったので次はそちらも読んでみたいと思います。2024/01/05
シュラフ
29
若者たちはひたすら坂の上の雲を目指すもの。かつては私もそのひとりであった。気恥ずかしいが、いまでもその気持ちはある。だから著者のような真逆のタイプ(下ばかり向いている人)に出会うとどう接すればよいか分からない。著者は賢い人なので幸福に生きるための発想の転換は知っている。「彼は思い至る。あまりに不確定で不透明な人生の中で、人を救うのは、楽観主義ではないかと。」よく分かっているのである。だけど著者はそれを実践できないから自らを不幸だと信じて、のたうちまわっている。なんだが読んでいて、とても絶望的な気分になる。2018/09/03




