内容説明
哲学者は詩人たり得るか?
日本古典の思想性を「詩」の言葉で論じた小林秀雄――。
古今・新古今の歌に日本の哲学を見出した井筒俊彦――。
二人の巨人を交差させ、詩と哲学の不可分性に光をあてる、清廉な一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
14
日本思想界の両巨頭をつかまえ、その類似点を抽出する作業が本書の目的だ。著者は、両者の「言葉」の奥の「コトバ」に注目し、仏教概念やイスラム思想、プラトン哲学や、ユングらの心理学を引き合いに、考察を重ねる。批評の神髄が引用にあることを小林から学ぶ著者は、大岡や遠藤、西田らの思想も交え論を展開し、二人の思想の奥行や広がりを縦横無尽に掘り起こす。「霊性」を重んじる若松の、鮮やかな論の流れは、両者の著作の核心に触れ、読者にさらなる精読を求める。小林の著作を読み進め、雑誌掲載中の若松の「小林秀雄論」の刊行を待ちたい。2016/01/23
Amano Ryota
4
何かに導かれるようにして、一気に読み切ってしまった。誤解が無いように言うと、そもそも本書は直ぐに読み切るような内容の本では無い。それでも僕がこの本を、今日この時に読み続けたのは、読んだというよりも、言葉に何かを見て、その流れから目が離せなかったからだと思う。上手く言えないが、読むという主体性がなくなり、ただ言葉を受け取ったと、そう感じる。本書の文章は、そこで語られた詩人達と読者とを、同じ場所に立たせる、それが言い過ぎなら、同じ風景を共有出来る場所に連れて来てくれる。その歩いた道は、とても綺麗なものだった。2015/11/10
shouyi.
0
若松英輔によるコトバをめぐる考察。 小林秀雄と井筒俊彦という二大巨匠をとりあげることにより、詩と哲学の不可分性を説く。ここでも若松の評論には鍵となる「霊性」が深い意味が与えられていく。まだまだスッキリ理解できたとはいえないが、読後は爽やかであった。 2017/08/04