内容説明
13世紀にユーラシアの東西を席巻したモンゴル帝国。その創始者、チンギス・カンは、質素倹約、質実剛健なリーダーだった。それを物語るのが、著者が近年、発掘成果をあげているチンギスの都、アウラガ遺跡である。良質の馬と鉄を手に入れ、道路網を整備することで、厳しい自然環境に生きるモンゴルの民の暮らしを支え続けたチンギスの実像を、さまざまな文献史料と、自然環境への科学的調査を踏まえ、気鋭の考古学者が描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプリント
9
遊牧民文化は遺跡はないと思っていました。モンゴルの躍進をささえた要素を考古学視点から解き明かします。2017/09/03
きゅうり
8
質実剛健で郷土を愛するモンゴルの遊牧民のチンギス・カン像を知ることができた。 昔の勢力図や地図を見比べながら読むのが楽しい。チンギス・カンが愛し守った草原の景色がずっと続くといいな。2024/06/22
六点
7
アラフォー以上の歴史好きなら嘗て光栄(コーエイテクモ)が発売した歴史SLG『蒼き狼と白き牝鹿』に出てくる「オルド」というコマンドを覚えているだろう。オルドとはモンゴル語で王侯の宮殿から宿営地までを含む多義の単語であるが、大規模なオルドの遺跡であるアラウガ遺跡の発掘を中心に考古学と諸学共同の成果によってチンギス・カンの実像に迫った本である。その成果からは鉄と馬と交易路を制し、モンゴル高原を制したという、今までに無い剽悍な王の姿が立ち現れてくる。著者のモンゴル愛溢れる小ネタが何時かモンゴルへ行きたいと思わせた2018/06/25
さとうしん
7
考古学の成果から見るチンギス・カンとモンゴル帝国。特に鉄資源との関わりに重点を置いている。面白かったポイントは、一般的にチンギス・カンの盟友とされるジャムカとの関わりがほとんど触れられていないかわりに、ケレイトのトオリルとの関わりについて詳しく述べられている点、当時のモンゴル高原が金と西遼との勢力争いの場となっており、チンギス・カンは当初親金派として活動したことなど。あくまで「カン」として生涯を終えた等身大のチンギスが描かれている。2017/06/15
mstr_kk
6
考古学の立場から、チンギス・カン(ハーンではないことに意味があるとのこと)の興隆の理由を探った一冊。すばらしい本でした。チンギス・カンは世界征服をめざして侵略しまくったのではなく、モンゴルの民の安全と繁栄のために、モンゴル高原内に産業を興し、外交面でのリスク分散に努めていたのだと著者は主張します。そしてモンゴル高原の生産力を最大限に活かした彼の戦略を、今日の世界の平和のために役立てられないかと提言しています。人文系の学問がスリリングかつアクチュアルでありうる、ひとつの可能性を示した名著だと思います。2024/06/20
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