内容説明
年金破綻論など社会に蔓延する謬論を正し、年金経済学者らによる制度・歴史の軽視を鋭く批判してきた【著】者が、この10年に及ぶ混迷の原因と民主主義が内包する問題とを明快に指摘。そして、公的年金保険の意義と役割、一連の改革の内容を詳しく解説しつつ、喫緊に取り組むべき課題を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
14
東洋経済オンラインの権丈先生の記事に惹かれ、積読していたこの本を読んだ。「未納が増えて年金は破綻する」「若い世代は損をしている」「積立方式に移行すべきである」と言う21世紀が始まってから世に蔓延った年金に関する謬説を木端微塵に批判。自分も年金に長い間携わってきたが、これらの謬説に振り回されてしまい、誠に恥ずかしい。同時に権丈先生には心から感謝したい。それにしてもおかしな言説を振り回す経済学者が多すぎる。権丈先生によるとそれは「憎しみ」から来るらしいのだが、自分の知り合いの言動を見てとても共感できた。2018/04/23
脳疣沼
3
いやあ、自分も民主党政権に期待して、積立方式論者の本ばかり読んできた過去があるので、なんとも言えない気持ちになる。読書メーターでも、積立方式論者の本を高評価した私のレビューが残ってるので恥ずかしい限り。最近も年金受給資格の短縮が閣議決定され、脊髄反射で、良いことだと思ったのだが、本書を読むとなかなか微妙な問題である。制度を正確に理解することの大切さと、その困難さが分かる。2016/10/02
k.f
3
我々が大学などで学んでいる経済学はこの本でいう”右側の経済学”で一度その前提から離れて経済学を経済史のように歴史で追い、違う価値観を持った経済学から社会保障を考えてみることの重要性に気づかされた。経済学を勉強するにも良い一冊だ。2016/08/02
Yosuke Hashimoto
1
社会保障は産業界からみたらタンコブみたいなもの。バイアスがかかった情報が流布しやすい。 65歳以上人口を支える20-64歳人口は、1970年は8.4人、2010年は2.6人、2050年は1.2人。非就業者を支える就業者数で言うと、1.04人、1.05人、1.10人と大きな変化はない。高齢化により分配される側は想定通り増えていくが、分配する側をどう確保するか。無職、専業主婦、高齢者等かつては「非就業者」だった側が参加しやすい労働環境整備が制度の持続可能性のキモだろうと思った。2018/07/02
mock-shiki
1
専門家とか、政策とか。年金以外の分野でもと思うと薄ら寒い。2016/03/26