わたしは分断を許さない

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わたしは分断を許さない

  • 著者名:堀潤
  • 価格 ¥1,782(本体¥1,620)
  • 実業之日本社(2020/04発売)
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  • ISBN:9784408339184

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内容説明

「真実を見極めるためには主語を小さくする必要がある」
ファクトなき固定観念が人々を分断する。

香港、朝鮮半島、シリア、パレスチナ、スーダン、福島、沖縄。

いま、分断の現場では、何か起こっているのか?

分断の細部を文字として描いた、ジャーナリスト堀潤の渾身のルポルタージュ。

民主主義を、自由を、考える。

<序章より>
そんなに難しいことを言いたいわけではなかった。金よりも大切なものがあるはずだ、ということを伝えたかっただけだ。一度失ってしまったら取り返しがつかない悲しみを背負うことになる人々を、冷笑さえする空気があることが辛かっただけだ。ささやかな幸せを手にするために懸命に生きてきた人々の努力をなかったことのようにして、大義を振りかざし、沈黙を強いる権力者がいることに憤っただけだ。そして、そうした強者に媚びて、忖度し、現実を見るべきだと開き直るメディアで働く人間がいることが虚しかったからだ。マスメディアだからこそ、かき消されそうになる小さな声を伝え続けるべきであるのに。

(中略)

この10年でメディア環境も大きく変化し、SNSを中心に誤った情報や一方的な強い表現が跋扈するようにもなっていた。ヘイトスピーチやフェイクニュース現象が国際的な社会問題にもなった。こうあるべきだ、こうに違いないという偏った情報により分断が深まり、分断はやがて排除、排斥を加速させていった。政治はそれを利用し、自らに利する都合の良い情報発信に邁進するようにもなった。暮らしが豊かになるのであれば、誰かの人権が制限を受けても構わないという、誤った認識も広まったように思う。
 そうした状況を鑑みると、福島で起きている問題の解は、世界各地で孤立する分断の当事者たちへの処方箋に繋がるかもしれない、そう思うようになった。その逆もある。各現場では分断を手当てするための様々な取り組みが試行錯誤を繰り返しながら続けられている。世界を見ることで、国内の分断を乗り越えるヒントが見つかるのかもしれない。わたしはその答えを知りたくて、世界を旅することにした。今、この原稿もアフリカ、スーダンで書いている。昨年、市民のデモによって30年続いた独裁政権が倒れた現場だ。今、ここでも新たな分断が生まれようとしている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

22
非常に心に響くタイトルだが、著者の迷いのようなものも感じて不思議な気持ちになった。ジャーナリストにはすでにもうテンプレートが決まっていて、取材者に誘導質問しようとする人がいる。職業病であろうか。けれども、常に自分はメディアには弱者の立場に立っていてほしいと思う。政権側とご飯食べてる場合じゃないはずだ。2020/07/04

踊る猫

20
誠実な著者だな、と思う。個々の事象に関する取材のぬるさが目立たなくもないが、しかし見えを張ってハッタリで己を塗り固める書き手よりは信用できる。「何でも見てやろう」の精神で日本を飛び回り世界各地を渡り歩き、そこで拾った「ファクト」を拾い自分自身をアップデートさせていく。だが、この書き手はクセがなさ過ぎるとも思う。「個性派」ジャーナリストとしての顔が見えないのだ。誰の言葉もハイハイと聞き、それを基に右往左往する「イズム」のない人の顔が浮かぶ。メディアでは重宝されるだろうが、彼がイデオローグになれる日は来るのか2020/08/25

羊山羊

15
ある時、派遣労働者にインタビューを行った際、その顔も名前も忘れてしまう著者。まずその描写に著者ともども脳天を撃ち抜かれる。経済的に搾取される者が、個性までも収奪されることを的確に描いたシーンだ。そして著者は、香港、福島、沖縄、シリア…と世界の分断をつぶさに眺めてゆく。著者が直面する大きな主語にすり潰される小さな主語(個人たち)に、胸が締め付けられる1冊だ。そんな本著を読んでいると、どうしても個々人の悲劇に目が行くがそこで宇野氏との対談がしっかり冷や水を浴びせてくれる。2021/02/03

サメ鯨

10
現在の社会は分断されているのは薄々感じる。この本では、知っているつもりの問題でも、いざ現場でインタビューをしてみると、当事者は我々が想像もしてないような体験をしていると気づかせてくれた。また、意見を語るときに、主語をおおきくしないこと、政治の問題を考えるときは自分の生活との関連させる、興味のない出来事にもできるだけ知る努力をしようと思う。2020/05/27

みさと

7
私たちは簡単に他者にラベルを貼り、決めつけ、そして切って捨てる。それが世の中に分断を生み出していく。分断を煽って得をする人たちが世の中をそう仕向けているのか、それとも?克服するためにはまずは知ること。そして、当事者である一人一人とともにあるため、日本、中国、男、女、人種、地域など大きな主語ではなく、○○県○○町の誰々など小さな主語を使うようにする。足を運んだ分断の現場は、福島、沖縄、香港、朝鮮民主主義人民共和国、パレスチナ・ガザ地区、カンボジア、スーダン。問い続ける。簡単に分かったことにしないために。2020/09/16

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