内容説明
尊敬されつつ「老いる」のが困難な現代。年を重ねるごとにますます輝く人がいる一方、老いるほどに嫌われる人もいる。その境目は何か。「人は死ぬまで進歩できる」を持論に「老成のすすめ」を説く、宗教学者ならではの人生の応援歌。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
36
生れることが苦ととらえられるのは、輪廻のくり返しが前提となっている。インドでは、社会的義務を立派に果たし、功なり名なりをとげた人物が、最後に、すべてを捨てて修行者になってさ迷い、野垂れ死にしていく。これは、日本人には受け入れがたい考え方(30頁)。老成とは、年をとり、りっぱな徳を完成している人(34頁)。老後などあるのだろうか。そこに疑問を持つべきではないか。老後ではなく、老成の期間。老成は老いではない。発想の転換が、今や求められている(55頁)。著者は、三田会に関心を持っている。2017/10/14
乱読家 護る会支持!
7
「老後ではなく老成」。年齢を重ねることでこそ達成出来る事がある、、、と考える宗教学者の本。 終活するなら出家しよう。好奇心を持って、子どもの心を持ち続けよう。でも人生には締め切り(死)があることを自覚し、締め切りが近づいてきたら、生への執着を捨てること。。。 というような事を、いろいろと理屈をつけて書いてはります。老後を楽しむ事に、理屈が必要な方は読んだらいいんじゃね。。 2017/12/21
田中峰和
6
釈迦の出家が語られるとき、生老病死の四苦が登場する。老病死が苦なのはわかるが、なぜ生が苦なのか。輪廻転生を信じるインド人にとって、次は何に転生するかわからない。だから生まれたこと自体が苦なのだという。仏教は中国に伝来し、生まれることを苦として否定的にとらえる視点はなくなった。それが老いについての捉え方にも影響し、老成のような老いを肯定的にとらえる思想も定着。定年以降、20年、30年生きる日本社会では老後も、成長する老成のような考えを理解する必要がある。だが先祖を敬う観念が薄れると、老人への畏敬もなくなる。2017/11/26
キンセンカ
5
若さが異常な程にもてはやされる今、肉体的な老いに怯えを感じている人にぜひ読んで頂きたい。2017/09/01
takao
3
ふむ2023/06/01