創元推理文庫<br> トレント最後の事件

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創元推理文庫
トレント最後の事件

  • ISBN:9784488114022

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内容説明

アメリカ実業界の巨人マンダースンが、イギリスにある別邸で頭を撃たれ殺害された。突然の死を受け、ウォール街はじめ世界の投機市場は大混乱に陥る。画家にして名探偵のトレントは懇意の新聞社主に依頼され、この事件を解決して記事にするべく、特派員として現地に赴いた。そこで彼は最重要容疑者である、被害者の美しき妻メイベルと出会うのだった。盟友チェスタトンに捧げられた本書は、独創的な大トリックを有し、恋愛の要素をミステリに持ちこみ成功している。推理小説を旧来の型より大きく前進させ、黄金時代の黎明を告げた記念碑的名作。/解説=杉江松恋

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

71
名探偵物というと、一度や二度間違えた方向に進みはしても、ほとんどの場合、最後には探偵がちゃんと真犯人を見つけ出して大団円となるものだ。だが、トレントには、そういったかっこいい名探偵然としたところがない。彼の推理には、名探偵的らしい冴えが見られない。だが、繰り返されるどんでん返しは、トレントが何かを見落としていたために起きているわけではなく、それは、作者の、それまでの推理小説を打ち壊そうとする挑戦によるものなのだ。そして、作者の挑戦は、デビュー作でありながら『トレント最後の事件』という題にも込められている。2018/07/13

星落秋風五丈原

53
【ガーディアン必読1000冊】画家にして名探偵のトレントは、被害者の美しき妻メイベルと出会う…「またか」と思った皆さま、正解です。トレントはメイベルに恋。「最後の事件」というので散々活躍してきたかと思いきや、これがデビュー作。ややこしい。人が殺されているにも関わらず、被害者の人格がさほど褒められるものではなかったためか、「犯人を見つけて仇を取ってやろう!」という機運が盛り上がりません。むしろ「この事件のせいで悲惨な目にあう人を救い出そう」という方が、動機に近いかも。初登場にしていきなり引退宣言する探偵。2017/03/27

みっぴー

48
富豪の実業家が屋敷で撃たれた。ちょっと辛口ですが、本当にそれだけの話でした。ミステリーではなく、恋愛小説です。トレントというキャラクターにあまり魅力を感じず、その他のキャラクターも個性に乏しくて、あまりのめり込めず読了です。2017/06/22

まふ

26
米国人の大富豪が殺され、画家の素人探偵トレントが犯人を絞り込み、報告書を書いた後は別の仕事に精を出していたが、富豪夫人メイベルが忘れられずにその思いを伝えるも、犯人想定者からの「真実」の告白があり、富豪は自殺だったという結末、ところがこれで終わらず、さらに最後にどんでん返しがあり、トレント探偵の推理がまたも外れる…。異色の終わり方だが、これもあり、か。名作なのだろう。G1000、推理100。2022/08/22

シタン

24
1913年発表。シャーロック・ホームズを中心とする短編推理小説の時代を終わらせた(?)作品のひとつ。天才型名探偵とはまったく異なる、きわめて人間的なフィリップ・トレントという探偵の造形がとても面白かった。一応フーダニットを主軸とした長編小説となっていながら、むしろそれ以外の要素が満載で、いわゆる本格派推理小説を飛び越えてその先のミステリを思わせるところがある。2020/05/22

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