内容説明
犯罪者にして自由人、トム・リプリーのもとにやってきた家出少年フランク。トムを慕う少年は、父親を殺した過去を告白する……二人の奇妙な絆を美しく描き切る、リプリー・シリーズ第四作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
27
タイトルは原題=The Boy Who Followed Ripleyのうち「Follow」を「まねた」と訳しているが、事実を誤解されるきらいがある。フランクはリプリーの過去の所業を知った上で近づいてきたのではなく、偶然リプリーと同じように不可能犯罪を起こしてしまったというだけだ。リプリーみたいに腹が据わっているわけではないフランクは、罪の意識やら何やらを打ち明けつつ、なかなかリプリーの家から出ていかない。解説後書きにあるように、当時のハイスミスの恋人事情が影響しているようだ。2017/06/30
panam1927
17
★★☆☆☆2017/05/11
阿部義彦
15
リプリーシリーズ4作目、リプリーは結果として又一人を殺してしまいます。それもこれも一人の少年、フランクの為。一番同性愛が色濃く出ている物語です。フランクとリプリーには、世界でこの二人しか知らない秘密を共有しあうが、最後の最後で全てを失う事に。結末は予想はついたが、何ともやるせないリプリーに同情してしまいます。リプリーも後先考えずに思いつきで結構大胆なことをするよね。ただし、その後の痕跡の消し方や事後処理が本当に手慣れていて間違いが無いのがその辺の青二才とは大違い。ベルリンの熊よ!、、悲涙。2018/03/26
ふるい
11
リプリーシリーズ、第四作目。アメリカから家出してきた少年フランクを匿うトム・リプリーは、父親殺しの罪悪感に苦しむ少年にかつてディッキーを殺した時期の不安定だった自分を重ね、しだいに親愛の情を抱きはじめる。それにしても、退廃的な西ベルリンの夜の街で遊ぶ、トムとフランク少年の描写の妖しさったらない。訳者あとがきにもあるが、今作は今までと比べてもかなり同性愛の匂わせ描写が多いようでした(うふふ…)。ベルリンの熊のぬいぐるみが気になる〜。2020/11/04
田中峰和
4
「太陽がいっぱい」で出てきた同性愛的要素が、今作で復活したがむしろ父性がテーマになってくる。リプリーに接触してきた庭師の少年フランク。実は16歳でアメリカから家出してきた理由が、大富豪の父を殺害していたことだった。家出のもう一つの理由が恋人テリーサとの失恋だった。大富豪の息子の身分がばれたのか、フランクはベルリンで誘拐されてしまう。誘拐犯との戦いと救出に大活躍するリプリーだが、今回も犯人の一人を殺害してしまう。フランクを無事、実家に送り届けたのだが、自殺されてしまう。殺人者としての再生はかなわなかった。2024/11/13
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