内容説明
▼追放、居住許可、移民、難民……絶えざる人の流れに彩られた「フランス・ユダヤ」の道程を語り下ろす、2000年の歴史絵巻、全2巻!
▼上巻では、中世のラシによる聖典注解、旧体制下のボルドー、アヴィニョン、アルザス・ロレーヌに花開いたユダヤ教文化、市民としての〈解放〉を見た「革命期」をへて、19世紀末のドレフュス事件まで、異文化の相克とアイデンティティー構築の過程をたどる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
22
10〜13世紀のフランスは、アシュケナジ系とセファラディ系の二つのユダヤ教文化圏の緩衝地帯に当たっていたようだ。注目したのは、第三共和制時代の前期、ロシア・東欧からの数万人規模のアシュケナジ系ユダヤ教徒の流入が、フランス・ユダヤ「教」世界の構成員を入れ替えたとの指摘。また、ドレフュス事件を前にしたユダヤ「教」世界の「消極性」をめぐる従来の見方に対して、代表的ラビ、ザドック・カーンを中心とした覆面行動委員会の対応など、これまで十分に検討されてこなかったユダヤ教側の対応の側面を取り上げている点も興味を引いた。2020/04/22