岩波新書<br> パウロ十字架の使徒

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岩波新書
パウロ十字架の使徒

  • 著者名:青野太潮
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 岩波書店(2017/06発売)
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  • ISBN:9784004316350

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内容説明

キリスト教の礎を築き,世界宗教への端緒をひらいたパウロ(紀元前後─六〇年頃).この人物なくして,今日のキリスト教はないと言っても過言ではない.アウグスティヌス,ルターに多大な影響を与えたといわれる,パウロの「十字架の逆説」とは何か.波乱と苦難の生涯をたどり,「最初の神学者」の思想の核心をさぐる.

目次

目  次
   まえがき

 第1章 パウロの生涯
   生い立ち/謎の青年時代/迫害者/復活のイエス/ガリラヤか、エルサレムか/回心/アラビアでの宣教/エルサレムへの上京/使徒会議/伝道の旅へ/コリント教会/最後の旅
 第2章 パウロの手紙
  1 正典としてのパウロの手紙
  2 パウロの手紙はどう読まれたか
   伝道のための手紙/朗読される手紙/複製される手紙/マルキオンの正典
  3 七つの真筆の手紙
   テサロニケ人への第一の手紙/コリント人への第一の手紙/コリント人への第二の手紙/ガラテヤ人への手紙/フィリピ人への手紙/フィレモンへの手紙/ローマ人への手紙
 第3章 十字架の神学
  1 イエスの最期
   パウロは何が許せなかったのか/心の内に現われたイエス/イエスの最期についての資料/ 「十字架の神学」の核心
  2 十字架につけられたままのキリスト
   生き続けるイエス/イエスの殺害/十字架の逆説/十字架刑の残酷さ/ 「十字架につけられたまま」とは何か
  3 呪いこそ解放、そして祝福
   律法の呪いからの贖い出し/ 「十字架」と「死」の区別/ 「贖罪」とは何か/ 「義なる方」である神/律法とは何か/罪とは何か
  4 「弱さ」を生きる
    「弱さこそ強さ」という逆説/両面作戦を戦う/異邦人の告白の逆説/弱さゆえの十字架/正反対のパウロ?/イエスの言葉の反映/ 「強い」生き方への警鐘
 第4章 パウロの思想と現代
  1 パウロの思想の影響
   再発見者たち/アウグスティヌス/マルティン・ルター/カール・バルト
  2 神の啓示をめぐって
  3 イエスの贖罪をめぐって
   イエスの叫び/贖罪論の危うさ/ 「犠牲」について/ルカの誤解/イエスの福音の中心
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

80
十二使徒ではないパウロ。しかしながら偉大なる伝道者としてその活動は語り継がれています。実際新約聖書の大半はパウロの手紙であると言っても過言ではありません。そんなパウロの十字架の神学は最初の神学だと言えることを教えられた気がします。十字架の使徒として生きたパウロのあり方を知ることで、キリスト教神学の新たな視点を見たような気がしました。2017/07/11

fishdeleuze

34
イエス=キリストはその死をもってわたしたちの罪を贖ったという贖罪論において、つまるところイエスは供犠である。これはユダヤ教的思考であり、復活のキリスト、十字架につけられたままのキリスト、超越者を内在として回心したパウロ(P.108およびガラテヤ書1:15‐17)にしてみれば、神のゆるしや救いを表しきれなかったのだろう。 十字架での磔刑は、弱さや愚かさ、躓き、呪いといった否定的なものの象徴であるが、→2018/01/30

しんすけ

19
紀元1世紀にパウロという人物が存在しなければ、後にプロテスタントの宗教改革もなかったのでないかと言われる。 だがキリスト教者になるまでのパウロは、敬虔なユダヤ教者だった。そしてローマ市民権も持っていた。 そのパウロが、ローマによって殺されたイエスを発生とするキリスト教に、なぜ改宗したのだろうか。 パウロの中になにか苦悶するものがあったのではないか。 それを期待して読み始めたのだが、そんなパウロを本書のどこにも見出すことはできなかった。2022/11/20

浅香山三郎

17
本書も(以前から積ん読ではあつたが、)『異端の時代』からの流れで読む。生前のイエスには会つてゐないパウロが、キリスト教の布教の中で何を説き、「十字架の神学」をどのように理解したのかを考察する。『異端の時代』でいふ、正典・正統・教義と異端の関係ではないが、パウロの同時代にも様々な教義についての理解があり、いままた、本書のやうにパウロが説いたことについての再検討(贖罪論やイエスの死の理解についての通説への疑問)がある。難解ではあつたが、キリスト教神学がいまも、生きた存在であることを実感させられた。2020/05/16

Francis

14
猫町倶楽部の新約聖書読書会のパウロ書簡の参考書として購入。パウロの生涯、思想、書簡の内容がよく分かる。それでも十字架の神学は分かりにくい所もあるのだが、最良のパウロ入門書と言える。もう一度読んでパウロの思想を深く理解したい。2022/04/10

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