内容説明
「生きることの大半は繰り返し」というとき、その「繰り返し」の中に人は生きるための喜び、とまではいかないにしても、慰め、頼り、よすが、何でもいいけどそのようなものを見いだすことができる。(本文より)――変わらないということは、逆に考えれば古びていないということ。書いては眠り、起きては書き、自らの日常を小説家ならではの視点で綴る名随筆。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
momo
13
本書にはエッセイ、短編小説、書評と幅広い内容が収められています。一番興味を持って読んだのは「文章の巧拙」というエッセイです。「文章を書くことは洋服のコーディネートに似ている」という表現になるほどと思いました。「自分のセンスを曲げずに書き出して、書きあげてしまうずうずうしさが絶対に必要なのだ」という箇所から大変な勇気を与えられました。そして必要なことは自分のセンスを磨くために優れた文章を読むことなのだと思いました。本書は深刻にならず、甘すぎず、ユーモアがあり楽しめる、センスを磨くのにとても有効な一冊です。2017/09/15
奏市
10
エッセイが主で2作短編が入っている。充実した内容でとても良かった。22年前、大学受験の年の地元の光景から始まりいきなり感慨に耽ってしまう。短編の『十七歳』物凄く好み。空気感が良くて微笑ましくてシニカルな部分も良いし切なくもあるし。最後はちょっと感動的。エッセイの『人嫌い』面白い考察で少し気持ちが軽くなった。『交換殺人』という小説の中で精神科医は眠れないという患者に「友人は作らんこと」とアドバイスしたと。『台所のシェリー酒』著者は「夜中に寝酒がわりに吉田健一の文庫本」を読んだりするのか。オチは思わず笑った。2023/06/10
ソラ
10
*変わらないということは、逆に考えれば古びていないということ。書いては眠り、起きては書き、自らの日常を小説家ならではの視点で綴る名随筆。2009/03/28
ソラ
6
*変わらないということは、逆に考えれば古びていないということ。書いては眠り、起きては書き、自らの日常を小説家ならではの視点で綴る名随筆。2010/10/19
Kazuo Tojo
5
今回、直木賞受賞の話題の作者のエッセイ集。小説家の一面に接することができて、共感するばかり。なにかと波長が合ってサラリと読めた。音楽や食べ物、ファッションや佐世保のことなど。受賞作品もすぐ読みたい。2017/08/04