評伝レヴィナス ―生と痕跡

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評伝レヴィナス ―生と痕跡

  • ISBN:9784766422870

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内容説明

ユダヤ教の中に一つの哲学的洞察を認め、自らそれを生きた哲学者レヴィナス。レヴィナスを一つの結節点とする知的ネットワーク、20世紀ヨーロッパ・ユダヤ精神史を描く、レヴィナス評伝の決定版。哲学の言語に、ユダヤ教の遺産が持つ閃き、響き、色彩を以っていっそうの輝きを与えた哲学者レヴィナスは、はたして自らの哲学をどのように生きたのか。レヴィナスが生きた世界の実像をあますところなく描き出す傑作評伝。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

194
20世紀初頭、リトアニアに生まれドストエフスキーを愛読した彼は、ストラスブール大学で聖書学に目を開かれ、ベルクソンに傾倒、ブランショと奇妙な友情を結ぶ。フライブルクではフッサール、ハイデガーに師事。後にローゼンツヴァイクのユダヤ的自我と普遍的人間性を知る。仏に帰化後、戦時の捕囚生活や肉親の銃殺が彼の哲学の《黙した源泉》となり、そこから「内的法廷」…即ち《人間の全人間性を、四方に開かれた良心という粗末な小屋の中に匿うことの義務》を呼びかける。本書は客観的叙述に教え子の視線が交錯する、温かみのある評伝だった。2021/11/07

さえきかずひこ

14
筆者はモロッコ生まれのユダヤ人作家・ジャーナリストであり、レヴィナスの直接の教え子である。彼の難解な著作からの引用は控えて、取材当時存命中の関係者の証言から、その生きることのうちにあったレヴィナスの哲学の営みを巧みに描き出す良い評伝。フッサール、ハイデガー、ローゼンツヴァイク、ブランショ、シュシャーニ、ジャン・ヴァール、デリダ、リクール、ヨハネ=パウロ二世、ネルソンといった彼と深い影響関係を結んだ人物たちとのエピソードが活写されており充実の読みごたえ。巻末に索引が付されていないことだけが、ただ残念である。2020/01/03

koke

4
収容所での経験はレヴィナス自身は語っていないようでそれほどボリュームは割かれていない。収容所から出た後、主著を書くまでの間ユダヤ人学校の校長として、教育者として過ごす期間があったことは知らなかった。またその期間、彼を導いた2人の人物がキャラ立ちしていて思いがけず面白かった。1人は奇人の、詩人でもある哲学者ジャン・ヴァール。もう一人が本名も不明のホームレスながら凄まじい教養を有したユダヤ教のラビ、シュシャーニ師。2020/12/26

保山ひャン

4
リトアニアに生まれ、ウクライナに移住し、フランスでブランショの知己を得て、ドイツでフッサールとハイデガーの哲学に触れ、大戦時にフランス兵捕虜としてドイツに収容され、戦後一歩もドイツに足を踏み入れなかった哲学者レヴィナスの足跡をたどる。第二部では、レヴィナスに影響を与えたヴァール、シュシャーニや、ハイデガー、デリダとの関係、子孫が伝えるレヴィナスの人物像、レヴィナス受容の歴史などが取り上げられる。レヴィナスが冗談を好み、物真似好き(自分でやるのでなく、見るのが好き)だったとか、親近感わく描写もあった。2016/12/01

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