内容説明
お針子、人妻、娼婦、ボヘミアンの恋、そして同性愛と近親愛。17~20世紀までのここに書き綴られた物語は、フランス文学に幸福な愛が少ないということを明らかにしてくれる。恋する女性は不幸な結末を宿命として甘受しなければならない。女性にとって、恋は「情熱passion」であると同時にまさしく「受難Passion」だった。愛の国の愛のかたちをなぞるように、最高に甘くそして苦いフランス文学を味わいつくす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
12
タイトルの軽さ?に似合わず、かなり濃い論文集。19世紀フランス小説が一番のコーパス。1830年代から1860年代にかけて黄金期を迎えた三種類の娼婦。グリゼット(お針子)は、貧しさゆえの売春と心の美しさ。クルチザンヌ(高級娼婦)は、貴族の子弟を養う独立不覊。ロレットは、その間で、ブルジョワ化し、怠惰で不誠実というネガティヴな表現。反社会的!な独身者(芸術家、作家たちで女嫌い)の系譜。前半部がとても面白い。後半の不倫、同性愛、近親相姦あたりは、19世紀フランスに特有というよりも、より一般的か。2019/07/15
ゆい
10
かわいい装丁!今年目覚めたフランス文学愛に答えてくれるすてきな作品。今読んでいる椿姫がさらに楽しくなりそう。イギリスともロシアとも違う、眩しいフランス文学の魅力を教えてくれます。2017/03/29
きりぱい
10
勉強だと思ったら楽しいけれど、気楽に楽しもうと思ったら思ったより面白くないちょっと論文寄りな内容。「恋愛は本能的な衝動ではなく、文化的に学ばれ、反復され、刷新されていく行為」と引用されるように、フランス人だって元から恋多き国民なのではなく、その手の文学がそういう国民を作った?グリゼットや娼婦、その間に位置するロレットなど、系統づけられる輪郭が興味深い。『椿姫』にしても『娼婦の栄光と悲惨』にしても、娼婦は幸せにはなれない、許されるのは贖罪だけという定められた扱いが印象的。2012/11/24
桜子
5
表紙の可愛さに惹かれ手にした1冊、単純な動機ではあったもののとても読み応えありました!様々な恋の形が時代ごとに纏められており、フランス文学の芸術性の高さを再認識しました。最近は堅い内容の本ばかりを読む機会が増えており、良い箸休めにもなりました。passionの捉え方が特に心に残りました。
bibliophage
5
すごく面白かった。「女性にとって恋は『情熱passion』であると同時にまさしく『受難Passion』だった」というのをなるほどと思わされた。カルチェラタンの恋:グリセット(お針子)との恋(黄金時代は1830~40年代)、ボヘミアンと女たち:ラ・ボエーム、白い肌は若さや美しさの象徴であると同時に儚さ・身体的脆弱さを示唆する、女嫌いの文学(ゴンクール兄弟、作家とはすべてを文学に捧げる人間であり、女性や愛でさえ文学のための糧にすぎない。文学創造と結婚は両立しないのである)、芸術と愛の二律背反(ゾラの『制作』2017/04/02
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