内容説明
教育改革の名の下での学校教育制度の迷走、そして東日本大震災と福島原発事故を経て、ここ数年の日本の教育現場で何が起こってきたのかを元文部官僚の立場から喝破し、「教育を受ける立場から、生涯にわたる学習教育」へとすすむべき方向を提言。また、今の大学生や新社会人の新たな動きなど、若者たちが模索している今までにない価値観を目の当たりにしている【著】者が、これからの若者の可能性を論じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
7
教育は「学」にもなって本もたくさんあるのに学習の本はない!とつねづね不満だったので、このサブタイトルを書店の棚で見てとびついた。正解だった。学び手の側に立とうとする者にとっての武器になる知識たち。06年の教育基本法に生涯学習者の権利を守る規定が出来てたなんて、愛国系の話題ばかりで知らなかったよな。◇ゆとり教育以来の教育政策の揺れに対して、NPOカタリバの学長など学習者側に立つ活動をする著者。言うたはることスジ通ってるな、と思った。2013/06/30
himawari
4
ゆとり教育を受けてきた私にとっては元気づけられる内容。ゆとりだから駄目だという言葉を良く耳にしてきた私は、これから芽が出ることを信じ、若者にも力があるんだと言ってくれる大人がいることに勇気づけられた。最後まで説得力のある文章で、なるほどなぁと思いながら読めた。でも、政治には失望したという著者の言葉だけはどうにも負け惜しみに聞こえた。政治に無関心では民主主義は成り立たない。まあ、今の政治が民主主義かといわれると首をかしげるしかないけれど。2015/07/31
ちゅん
1
教育が政治の道具にされている昨今。学力低下だの、道徳心の欠如だの、そんなことより政治家によって教育を無茶苦茶にされて、本当にこの国は大丈夫なのか、行く末が心配。「教育権」を振り回してがなり立てる輩に迎合するでなく、学ぶ側主体の「学習権」で教育を論じる著者の考えに同意。劣化した政治・政治家の横暴や無責任なマスコミの論調に流されないためにも地域力の強化を!ホント、そう思う。2013/12/14
K
1
雑誌「教育と医学」への連載記事のまとめ。主体的な学び,主体的な行動の重要性を一貫して説く。 個々のトピックの主張内容や扇情的な文体など,賛成意見だけでなく反対意見もあるし,好き嫌いもあるけれど,著者は若者がもつ力を信じて共に行動を起こしている。こういう方の言葉や文章の重みはしっかりと受け止めたいですね。 個人的には,「学力とは『学ぶ力』である」という主張には納得するし強く賛成するけど,それをどのように操作的に定義し,評価するかという問題が気になります。2013/09/24
YH
0
ゆとり教育を推進し、「ミスター文科相」と言われた著者の、教育系の雑誌の連載を本にしたもの。 文句を言うだけではなく、実行する。自分で考える力を養う。コミュニティースクール構想、熟議、考える市民。政府批判、政治家批判を繰り広げるが、唯一、民主党で元文部副大臣の鈴木寛だけは認めている。 そんな鈴木寛さんは参院選に落選した・・・2013/08/11