内容説明
中学生の野々香は、放課後の校舎で、まだ本屋さんで売られていないはずの文庫本をみつける。大好きな作家・新木真琴の発売前の新作だ。なぜここにあるの? 謎に導かれて、野々香は本が好きな仲間や、本に関わる仕事をする大人たちと出会う。本は世界を広げ夢を作り、素敵な出会いをもたらしてくれるのだ。あなたにもだいじな本とだいじな人が、みつかりますように。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
202
「朝日中学生ウィークリー」連載の〈だいじな本のみつけ方〉の文庫化にあたり、〈だいじな未来のみつけ方〉という書き下ろしを追加、連作短編の形式をとるこの作品。元々中学生向けで、とても読みやすく、それでいてプチミステリーが良い味を出していて大人も十分楽しめる作品に仕上がっています。「だいじな本のみつけ方」という書名にもある通り、この作品では”本”と繋がる”きっかけ”を中学生の主人公が身をもって体験していく様が描かれていきます。『自分のだいじな本が、誰かのだいじな本になるかもしれない』、素晴らしい作品でした。 2021/06/28
hnzwd
86
本好き中学生達の本を巡る一夏。あるあるから、懐かしい感じまで、本好きには堪らない作品。解説でも触れられていますが、「本は、その人の一番やわらかな部分と結びついている。傷つきやすい無防備な部分だ。弱味であるのかもしれない。隠しているのが一番安全。」はかっこよすぎるセリフだわ。表紙も素敵。2017/07/03
ぶんこ
83
「大好きな作家の、まだ出ていないはずの新刊が、学校にぽちんと置いてあるのを見つけたら」から始まった物語。本好きな野々香でなくても、私でも気になってしまう。ずっと図書委員になりたかったのに、上から目線のウンチク君の秀臣に先を越されてしまう野々香。大好きな作家の大ファンという知人を思い出しました。私も好きと言っただけで、上から目線でバカにされ、色々感想を話し合いたかったから淋しかったと思い出す。書店員の青山さんのような人に出会えたのも羨ましい。本の持つ世界の楽しさを教えてくれる本でした。2017/06/26
たるき( ´ ▽ ` )ノ
71
始まり方からワクワク♪心待ちにしている本が発売前に置かれていたら「えっ!?」ってなる。この本は中学生の時に読めたらもっと楽しめただろうな(*´ω`*)2017/07/22
ユメ
63
「本は、その人の一番やわらかな部分と結びついている。傷つきやすい無防備な部分だ」まさに、と思う。作中の中学生たちも、本をめぐって対立したりもする。けれど、だいじな本を届けるために手を携えて走り出す。本には人を走らせる力があるのだ。作家や書店員といった本を届ける人たちが「心と心を繋ぐ」憧れの存在として描かれているが、中学生たち自身も本を届けるために工夫をこらすのが爽快だ。今の時代、プロではなくても、本を人に届けるための手段がある。私も、野々香や秀臣のように、自分のだいじな本を紹介していきたいなと思った。2017/05/27