内容説明
サブカルチャー論・若者論は数多出されたが、その理論と方法が時代とともに更新されてきたとは言い難い。来るべき文化研究の方法規準とはいかなるものか?気鋭の社会学者たちが問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
8
本社の学問区分は文化社会学で、ブルデューの理論を下敷きにしている/第8章では、男性オタクと腐女子を扱っている。東浩紀の「データベース消費」とそれを継承した東園子の論を参照している。山岡重行『腐女子の心理学』を批判しており、対して山岡は『腐女子の心理学2』で反論している。「社会にとってBL趣味とは何かを考える」と「マンガやアニメ、BLの熱心な消費者とそうでない者とを比較対象する」とは一致するわけがない。「腐女子の心理学」の方がオーソドックスかな、素朴な感想として。2019/03/12
mittsko
7
女オタクと男オタクの異同が気になって仕方ない(両者の間にはとても大きな違いがあると実感されて仕方ない)ボクにとって、本当に大切なお仕事…!(*´ω`*) ※ 執筆者は5名。共同研究のお手本のようだ。独りっきり研究しかできないボクには、心底うらやましい しかしその代償として、論点は拡散気味、浅止まりだ カテゴリー化批判は全編でよく追究されているが、hobby/taste論、ブルデュー論としてはいかにも掘り込みが足りない まぁ北田さんが強調するように、読者であるボクたちがバトンを引き継げばいいのだが2025/11/14
富士さん
7
オタク研究、サブカルチャーの消費者研究には必読文献になるでしょう。特に3部はとても魅力的な内容で、その分析方法や着眼点などは見事でした。その分、1章のブルデュー批判は不相応に難解であると同時に過剰な議論であるような気がします。文化資本は社会関係資本を媒介にしなければ、実際の資本に影響しようがなく、個々の趣味内での文化資本の競争の有無から階級の再生産も含めたマクロな議論にどうしてもつながりません。本書が依拠している年齢層に偏りのある調査だけではブルデューを云々言うのには無理があり、ふさわしくない気がします。2019/08/11
hegemon
6
全ての基礎となる第二章が「ブルデューという巨人を批判的に継承していく」という問題意識で書かれているので、そのインパクトをよく知らない非社会学徒には忍耐が必要だった。それを乗り越えるとどの章も面白いが、中でもファッションを扱った第6章「「差別化という悪夢」から目覚めることはできるか?」は「俺のことが書かれている!」と思わずにはいられなかった。第8章「動物たちの楽園と妄想の共同体」は薄々気付いていたことがはっきりした形で出てくる凄みがあったが、一点だけ「二次創作指向の女性オタク」を特に何の断りもなく「腐女子」2017/04/11
センケイ (線形)
5
予想に反して、趣味は社会にどう役立つか?という話題というよりは、音楽やアニメを「わかってるやつ」っているのか?といった話題だったが、これはこれで大変魅力的。もちろんこれに限らず、上記やファッションなどの趣味が友人作りと連動しているか、男女でどう違うか、といった話題もまた興味深い。また最終章の、全男女の中でも女性オタクがもっとも恋愛や男女についての感覚が冴えている、ということを支持するデータと解説はかなり重要ではないか。2017/06/30
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