文春文庫<br> エヴリシング・フロウズ

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文春文庫
エヴリシング・フロウズ

  • 著者名:津村記久子
  • 価格 ¥896(本体¥815)
  • 文藝春秋(2017/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167908485

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内容説明

クラス替えは、新しい人間関係の始まり。
絵の好きな中学3年生のヒロシは、背が高くいつも一人でいる矢澤、ソフトボール部の野末と大土居の女子2人組、決して顔を上げないが抜群に絵のうまい増田らと、少しずつ仲良くなっていく。
母親に反発し、学校と塾を往復する毎日にうんざりしながら、将来の夢もおぼろげなままに迫りくる受験。
そして、ある時ついに事件が…。

大阪を舞台に、人生の入り口に立った少年少女のたゆたい、揺れる心を、繊細な筆致で描いた青春群像小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

122
「ウエストウイング」の3年後、中3になったヒロシの物語。このじっくり読ませる感じがやっぱりいい。そしてヒロシはヒロシだった。ヤザワとか女子たちとの会話はたわいもないが、緊張と弛緩のバランスが程よくて関西弁の軽妙さと相まってうんうんとなりながら読めた。エッとなる事件や顔をしかめる状況にも出くわす。でもヒロシならばと思って見ていた。相手の心に踏み込み過ぎず、安易な同情とかせず、ただ何とかしてやりたいという心持ち、それが彼の魅力。別の道に進んだら忘れてしまう奴かも。だけどふと思い出したら心が和む奴なのだと思う。2021/03/18

papako

70
なんか染みたわ〜。津村さん描く中学生というので、少し身構えてしまったけれど、真っ当すぎるほど真っ当なお話でした。ヒロシ、出来過ぎやろう。ヤザワとヒロシ+フジワラがいい感じ。大土居、野末、増田も。なんかいいなぁと思う。こんな中学生いいひんやろうとは思うけど、どうなんやろう。ラスト、ヤザワの自転車が引き上げられるシーンはグッときた。解説にヒロシのことを『意見がない』と書かれていたけれど、違うと思う。意見がないヤツにヤザワは助けられへんやろう。と、関西弁で感想書いてみました。ほんま良かった。2017/06/30

佐島楓

64
中学生ひとりひとりに、自分の世界があり、どんなことがあってもそれを壊されないようあらがっていく、そんなことを想像させる。少年少女なりのささやかな広がりがやがて不安と期待に満ちた未来へつながっていく。ネガティブなようでいてポジティブ。素晴らしいのひとこと。2017/05/31

優希

59
面白かったです。変に洗練されていないので、ヒロシの目線で読むことができました。青春でありながらも淡々と普通の日常で、等身大でリアルな姿が描かれているのもいいですね。最後の「すべては漂っている」の表現が良いなと。2020/08/01

shizuka

58
主人公ヒロシが「ウエストウィング」のヒロシだと分かった途端、俄然面白くなってきた。親友ヤザワの災難、淡い恋、勝手にライバル視している女子など、ヒロシの心はまったく落ち着かない。それでも彼は余計なことを言わず、自分で答えを出す力があるから立派。大土居の複雑な家庭、これは大分事件だと思ったけれど軽く収束してしまって逆に不安に。大土居とかえでが幸福になれますように。高校受験で出会った町村。ヒロシはガン無視しているけれど、いずれ映画「瀬戸内海」の内海と瀬戸のようになる気がしてならない。高校生のヒロシにも会いたい。2018/03/07

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