内容説明
テロや民族紛争の激化に伴い発達した近接戦闘兵器・機甲兵装。新型機〈龍機兵〉を導入した警視庁はその搭乗員として三人の傭兵と契約した。警察組織内で孤立しつつも彼らは機甲兵装による立て籠もり現場へ出動する。だが事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた……日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞の“至近未来”警察小説シリーズ第一作を徹底加筆した完全版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
180
間違って3作目を先に読んでしまったので、1作目に戻ってみた…なるほど、キチンと状況や人物を設定していて、事件のスリリングさも含めて一級品のエンタメ作になっている。SF+社会派+アクション+ハードボイルド…沢山欲張った割には上手に纏められていて「マニアが喜ぶだろうなぁ」と思わされた。主要登場人物たち(姿、ユーリ、ライザ、沖津、鈴石、城木、宮近たち)を個性的に書き分けているのが私には一番の魅力。人間ドラマが熱く濃厚な『土漠の花』が大好きなので若干物足りなさも感じるが、今後もシリーズを楽しみたい♪♪♪2018/05/08
Tetchy
170
昨年に原版を読んだばかりだったが、完全版と銘打たれているからにはどうしても気になるため、この度の文庫に際して読み直すことにした。文庫裏の解説には徹底加筆と書かれているものの、手元にオリジナルがないため、比べてないのだが、正直云えばどこが変わったのかは解らなかった。追記されたエピソードもないようだし、話の流れも変わっていないように思える。完全版が出たことでオリジナルの方は手放そうと考えていたら、そちらは今は絶版。ということはプレミアムが付くかも?そんなことを考えるとさてさてどうしようかと思案中なのである。2018/03/13
のり
113
戦争やテロも仕様が進化し機甲兵装が開発され被害が懸念される中、警察側も新たに特捜部を新設し、龍機兵を導入するが、特件もあり身内の警察内部からも敵害視される。まして搭乗員は、外部から集められた傭兵の三人。階級も中々のポジション。そんな中、SATを標的にしたテロ事件が更に溝を深くする。特捜部の面々の過去や闇も明かされながら…多様化された武器や弾薬。戦闘も激しさを増す。犯罪グループの仕掛けも中々。首謀者は一体何者?シリーズを追いかけてみよう。2019/03/05
ケイ
109
警察物のシリーズを物色して色々と読んでいる。10年以上前から新作が出れば読んできた今野敏、誉田哲也、佐々木穣、堂場瞬一、麻生幾。しかし、どうしてもマンネリ化はあり、それ以外で何か良いものはと手にとったこの作品。なんと!これは単なるプロローグなのか。出だしが最高。その様子が映像で浮かぶ。字の羅列から映像を生みだすのだな、この作家は。シリーズがこの先に何冊もある事が嬉しい。2023/05/26
ぶち
100
(再読)(完全版は初読) 1ページ目の1行目から事件の真っただ中に放り込まれ、戦闘兵器(機甲兵装)がドカドカと闘うアクションシーンにページを捲る手が止まらくなりました。最初の80ページ程を一気読みです。読み終った時にはハァハァと荒い息をしていました。でも、この小説は機甲兵装によるアクションがメインではありません。特捜部の地道な捜査、特捜部への警察内部の他組織からの軋轢、特捜部に属する様々な背景を持ったメンバーたち、日本の警察を狙う謎多き敵。これらが物語に深みを与え、読み応えのある小説となっています。2023/09/02