内容説明
日本とフランスは先進国の中でも、左右のイデオロギー対立が極めて長く続いたという共通性を持つ。また共に強固な「官僚国家」であり、エリート主導によって経済成長を達成した点も同じだ。本書は、両国の政治過程とイデオロギー対立の変遷をパラレルに追いながら、グローバリズムの隆盛と左派の没落、エリート主義と大衆主義の相克といった戦後の政治潮流を考察する。二つの「官僚国家」の70年の軌跡から民主制の未来を見据える試み。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
8
敗戦国である我が国と、戦勝国であるフランスの共通点という観点は新鮮だった。考えてみれば、フランスにも「ヴィシー」という「暗部」があり、戦後は否応なく「分断」を抱え込まなければならなかったのだ。相違点や共通点は色々あるが、両国での政治や社会の変動があたかもリンクしているがごとくほぼ同時期に起こっている点が特に興味深い。特に、両国の左翼系知識人が政治運動に積極的にコミットメントしていたのは共通する「罪悪感」にあるという指摘はなるほどと思わされた。しかし、成功したという点では、戦後日本政治に軍配があがるだろう2020/09/26
Haruka Fukuhara
4
政治学者の本って感じで、もう少しジャーナリスティックな話も知りたかった気がする。2017/04/09
hurosinki
2
2〜5章は放送大学の教材が元になっており、それぞれ日仏の戦後政治・経済の比較を行う。新しく書かれた第1章と第6章は論点がボヤけており、読む価値はそんなにない。戦争の「負の遺産」を引き継いで醸成された左右の相互不信と対立は、戦後直後から近年まで続いた。対立の期間の長さ・強度は日仏に特徴的である(2章)。アメリカをモデルとする合理化の精神・政府の鼓舞する楽観主義も背景に、50・60年代に日仏は官僚主導の経済成長を果たす。2020/06/21
Kenji Suzuya
2
フランスと日本の戦後史それぞれについて、労働運動やポピュリズムなどのテーマからそれぞれ論じる。表題に比して、両国家における官僚の果たした役割は、戦後復興での統制的な役割を除けば、特に描かれてはいない。2017/06/06
しもちゃん
1
日・仏の戦後政治史の比較分析。両者には、①激しいイデオロギー対立の存在、②強力な官僚制、③80年代以降の新自由主義的改革、④近年のポピュリズムの台頭、という共通項があるという。特に、①③の分析が非常に興味深かった(④の内容は薄い)。イデオロギー対立が続いた背景として、過去(ヴィシー、大日本帝国)が十分に清算されていないという思いは両国の左派に共通していたが、具体位的な対立局面(日本:安保、仏:宗教&労使)で異なっていた、という。2021/02/16
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