内容説明
「あなたは母の生まれ変わりです」大学教授秘書の古橋万由子は、二十五年前に変死した天才画家高槻倫子の遺子にそう告げられた。発端は彼女の遺作展会場で、万由子が強烈な既視感に襲われ、「鋏が…」と叫んで失神したことだった。実は、倫子は鋏で首を刺されて殺されたのだ。万由子は本当に倫子の記憶を持つのか?真相を探る彼女に、奇怪な事件が襲いかかる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoringo
85
私は殺された女流画家の生まれ変わり?視ることができる主人公が絵画に込められた秘密に近づいて行く、少し捻った設定。恩田ミステリーには珍しく?その時何が起こったのか、最後に全て明らかにされる。ゴリゴリの本格ミステリーが好きな方には物足りないかもしれないが、どこか品のある文章が心地良く読む手が止まらなかった。2023/03/08
セウテス
78
万由子は、25年前鋏で首を刺されて死亡した高槻倫子の遺作展で、突如気絶してしまう。「高槻倫子の生まれ変わりかも知れない」倫子の息子高槻秒の言葉で、万由子は25年前の犯人を探して事件に関わっていく。生まれ変わりを題材に様々な要素を含んだ本作は、正に恩田陸の不思議な世界の代言だと思う。なんとも絵画的なイメージで、物語の展開が頭に浮かび、色や光を感じるようです。単純にミステリとしても、遺作のタイトルの意味などの謎解きの先に、犯人を推理する楽しみが在ります。読者を惹き付け離さない、この独特な世界に触れて欲しい。2017/03/10
とろこ
51
面白くて一気読み。25年前、何者かに殺害された天才画家・倫子。彼女の遺作展で、主人公・万由子は、ある絵をみた瞬間、鋏で襲われる幻覚に襲われ、意識を失う。その後、万由子の元に、「あなたは母の生まれ変わりです」と言う、倫子の息子が現れ…。“自分は、本当に倫子の生まれ変わりなのか?“と、真相を探り始めた万由子の周りで、不穏な出来事が相次ぐ。ラストまで、(それで?それで?)とページをめくる手が止まらなかった。平成11年の作だが、恩田先生は、この頃から、素晴らしいストーリーテラーだったのだなぁ、と脱帽した。2017/03/23
しのぶ
33
先が気になって一気読みした作品。黄色いバラの花言葉は「嫉妬」なんだ。生まれ変わりという不思議な題材と謎をうまく結末でまとめたミステリー。タイトル通り、だんだんと不安になってきて心がざわつく作品でした。エピローグの余韻がどんでん返し的にすごい。2015/05/30
buchipanda3
30
淡々としながらも、どこかしら危うげなものをずっと感じさせられていたミステリ長編。とある女性の生まれ変わりというオカルト風味をいいアクセントとしつつも、きっちりとミステリとして収束する流れを楽しめた。それぞれの絵の題名と内容に込められた意味合いが解明されるくだりも面白味を感じる。少々強引かとも思うのもあったけど、そこはきっちり伏線が張られていた。穏やかな中に不穏めいた描写を仕込んで読み手をざわざわさせるのは流石と思えた。文章も読み易くサクサクいけたし、最後まで楽しめた作品。2017/03/10
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