内容説明
格差、難民問題を解決できず、党派争いを繰り返す既成政党。その一方で、トランプと同じように「国益第一」を掲げ、国民の不満・不安を吸収して大きく成長してきたポピュリズム勢力。すでに一過性のブームという段階を超え、政権を担える実力を蓄えつつある。 目前に大統領選挙を控え、ルペン・国民戦線の躍進に揺れるフランスを中心に、歴史の転換点にいるヨーロッパのいまを描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
フランスにおけるポピュリズムの拡大を、主に国民戦線拡大を通して追った一冊。右翼左翼越えてそれまでの政治に飽き足らない人を掬い取る人間や政党が躍進するのはアメリカ大統領選以降様々な本が言及しているが、本書の興味深い点は躍進した方の変化。国民戦線がそれまでの立場を一見捨てて、中道寄りに見せようとしている点等特に面白い。ただ本書は2017年発行なのだが現在から見ると著者の危惧したような事は起きず、当時の大統領選は順当にマクロンが勝ちトランプは言葉以上に過激な事は何もしなかった。ロシアだけが不気味な動きしてるが。2022/02/14
だまし売りNo
4
ポピュリズムという言葉にはマイナスイメージがあるが、本来は民意の尊重という民主主義の徹底を求めるものであり、そのこと自体は悪くない。元々、EUは気まぐれな大衆民主主義に振り回されずに政策を遂行するエリート主義的な思想で制度設計された面がある。それ故にポピュリズムの不満が高まることは、ある意味で必然であった。 2019/08/05
スプリント
3
ルペン一族のフランス政界での立ち位置がよくわかります。2017/07/31
老兵
2
記者としてルペンやマクロンと対話したことがある著者の良著。現在の混乱を生みだしたフランス政治の背景を描いている。仏大統領選に興味がある方にはおすすめ。サルコジやオランドには欠けているマリーヌ・ルペン個人の魅力を認めつつ、その統治の権威主義性に警鐘を鳴らす。2017/04/29
taming_sfc
1
フランスの視点から現代欧州のポピュリズムと混乱のもつれた糸をほどく試み。ルペン(娘)についての叙述などは、現在の日本では国末さんしか書けまい。2018/05/22