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内容説明
上座部か大乗か、出家か在家か、実在論か唯名論か、顕教か密教か――。
ひとくちに仏教といっても、その内実はさまざま。
国と時代を超えて広められた仏の教えはいかに枝分かれし、豊かな思想の森をつくりあげたのか。
インドに花開いたブッダの思想が中国において整理され、やがて日本に根づくまでをインド哲学の第一人者が徹底解説。
空海、法然、親鸞ら国内の名僧も簡潔に位置づけ、流れがわかって疑問が解ける仏教入門の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
76
「日本仏教の源流を明らかにするために」は仏教とはどのようなものであるかを知るため、誕生の地で仏教がどのような展開を見せたかをよく知ることが肝心、と著者は確信しているため、全体の6割程がインド仏教史に割かれている。インドについてはその歴史や地理に明るくないため、なかなか内容が頭に入ってこない。何冊も仏教系の本を読んでいるので、繰り返し登場するものはなんとなく覚えているけど、インド哲学は深すぎて、私のような凡人にはやはり理解するのは難しい。浄土教が中国で起こり、盛んだったことは意外だった。2019/07/16
ゲオルギオ・ハーン
23
浄土真宗を中心に仏教についていろいろ調べる前段階として手に取りました。そのため、仏教の起源と日本での展開に特に興味をもって読みました。単純にインドと日本での展開を比較すると、インドは国家権力とは独立的な動きをした(そのため、ヒンドゥー教を国教としたグプタ朝の成立で衰退する)が、日本は当初から国の管理下におき、占星術や軍学を学ぶことは禁止とした(政治と宗教の距離が近いため、政界で発言力を持つ僧が出てくるようになった)。紙幅の関係から各宗派の説明があっさりしているが要領よくまとまっているので効率が良かった。2022/02/07
ホシ
18
「わかる」と銘打ち分量も多くないが、内容は高度で入門書に非ず。「わかる」本ではない。著者はインド哲学が専門。「インド生誕である仏教はインド思想の枠内で捉えるべき」という立場で、また、仏教哲学に関心はあるが、”非”仏教徒を宣明する。よって各宗派の教義には関心がない。叙述は非常に中立で客観的だ。これは学究的に正しいが、悪く言えば冷めてる。また、インド哲学が専門とあって、仏教誕生・初期仏教・初期大乗仏教に多くの頁を割き、南伝仏教やチベット仏教は微々たる記述しかない。偏りがあるのだ。オススメは出来ない本です…。2018/03/12
yutaro13
15
インドでの仏教誕生から日本仏教まで、文庫260ページという短い分量で仏教史を概観する。インド仏教史が全体の6割を占める一方、上座部仏教とチベット仏教などわずか4ページだ。インドの古代思想が大乗仏教に大きな影響を与えたことが改めてよくわかった。著者が非仏教徒のイン哲研究者とあって、客観的な記述が心がけられてはいるものの、大乗仏教を大成した龍樹にだけはやたらと手厳しく、インチキ、詭弁、虚偽、ペテン師といった言葉が出てくるのはもはやご愛嬌。客観的であろうとする中で著者の思いが垣間見られてむしろ面白いではないか。2019/03/05
西
15
(古代インドの思想で)この世が苦しいから生まれ変わった来世に期待する、という考えではなく、生まれ変わっても苦しむだけだからこの輪廻転生から抜け出したい、という考えは、自分にとっては非常に斬新だった。ブッダの哲学的な考えには惹かれる、しかしながら仏教、というか宗教は自分には合わないなと感じる。苦しむ人を救うという点では、救われた人にとっては素晴らしいものだと思うが、自分は宗教では救われないのだろう。2017/08/31