内容説明
元山形新聞記者が『ひさし伝』(新潮社)に続き、「東京に住んでいながら顔はいつも山形のほうを向いています」と藤沢周平自身が語る、その山形にスポットを当て、69年の人生を辿った独自の伝記。
市井に生きる人々に注がれるやさしいまなざし、忘れられかけている日本の原風景の再現、端正で清冽な詩情あふれる文章などの魅力で、今なお人気の高い作家の人生が、これまでと一風異なる視点から浮かび上がってくる。
山形新聞での井上ひさしとの対談、東京の冬と比較した寄稿など、単行本未収録の作品も紹介されており、丹念な調査から、藤沢周平の「自慢はしない」「普通が一番」という人生哲学が描かれていく。
旧制中学に通いながら文選工として働き、山形師範学校卒業後中学校へ赴任するも、肺結核に罹り東京で療養。退院後は業界新聞を転々としながら小説家への志を抱き続け、ようやく生活が安定するも妻が癌で他界、昭和46年、44歳でようやく「溟い海」でオール讀物新人賞、同48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞し、人気作家になる様子や、『たそがれ清兵衛』『蝉しぐれ』といった名作の背景も詳細に明かされていく。藤沢ファンは必携の一冊だろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
29
2013.10.20(読んだわけではありません、2013.10.20日経新聞読書、書評欄から)文芸評論家細谷正充評。 (笹沢信=1942生まれ、山形新聞社で文化欄担当、1998退社、出版社「一粒社」創業、『ひさし伝』) 見出=故郷から見た作家の生涯。 死後十数年、衰えない人気。 増え続ける読者。 娘、遠藤展子『父・藤沢周平との暮し』。生涯を丸ごと描いた一冊『藤沢周平伝』。 鶴岡市生まれ、周平。 故郷を愛し続けた。 「海坂藩」=故郷モデル。 2013/10/20
ソババッケ
9
2年前(2013年10月)出版の436頁もの力作。作者は山形新聞社に在籍した記者。周平の生い立ちから文壇への登場、一連の作品群の誕生といった項目を時系列で綴っている。周平のインタビュー記事、対談、解説陣の論評といった膨大な資料を駆使し、作者の考察を交えてうまくまとめ上げている。「物語の真実らしさを付与したいから・・・主人公の剣士に藩という枠をはめ、身分や役、家といった制約を与え・・・」という周平の言葉。かくして「隠し剣シリーズ」の短編や長編の「蝉しぐれ」が生まれていったのである。周平ファンにお薦めの1冊。2015/11/06
akanishi
2
人物論、作品論が堪能できた。東京の住まいが西武沿線で渋い。2020/06/16
kan
2
敬愛する藤沢周平さんの伝記だが年譜的な著作の時系列引用と著者の推測または感慨をつづったもの。2013/10/28
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