内容説明
今日も千歳の基地の上空にはジェット機が飛び交う。小中青年の直情で翳りのない愛情は安らぎをもたらすこともなく百合の心は沈む。離婚、年上、音楽家としての経歴、それらはいつも二人の間に横たわり、消えることはなかった。愛とは互いに傷つけ合うだけのものであろうか……。ひとりの女の過去と現在を通して、愛と性の哀しみを著者は清冽な筆致で描く。
感想・レビュー
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y_e_d
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戦闘機パイロット、勤め先のバーのマスター、実家の勤務医・・・周囲から思いを寄せられる百合。音楽を捨てた未練で捨て鉢になって起こした千博との過ち。しかしだんだん立ち直って再び音楽の道を歩み始め、自分の本当の思いを知る。原田作品の中では屈折した部分の少ない女性だが、ちょっと恵まれた部分もあって、ストイックさの無さが妙に現実感があって、身近な印象を誘う気がする。やや冷えた感じの美しい筆致で一気に読ませる作者の世界を堪能できる作品。2018/09/14
