内容説明
ひとつまみの支配層による富の独占。それはさらなる富を生み出す技術革命を推し進め、コストに過ぎない労働者からあらゆる仕事を奪い、産業構造を激変させていく。富の暴走は、トランプ政権を誕生させたごとく、社会基盤を崩壊させるまで続くのだ。在米36年のトップアナリストが豊富なエビデンスで明らかにする大国のリアル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
89
アメリカの格差社会を作り上げてきたのはシリコンバレーとウォール街。◆今やロボットがハンバーガーを作り、アディダスのスニーカーも製造する時代。人間には悲喜こもごもの変化を巻き起こす。◆我々の行動はwebサービス企業に吸い上げられる。eメールを送れば、その内容が。電子書籍を読めば誰が何を読み、どこにマーキングしたか。それらが全て記録され、情報として収集する人たちの利益を産む。◆富や権力がごく限られた人たちに集中したアメリカ。日本もその轍を確実に踏んでいる。他人事ではない明日への警告ともとれる内容だと感じた。2023/01/27
isao_key
10
シリコンバレー在住のアナリストが現在アメリカ社会で起きている流れをデータを用いて分析する。ITの話題が多いが、現代を反映している証である。自分の使っているコンピュータ上の個人情報は、すべてwebサービスやメール機能を提供している企業の所有物であり、それらの個人情報をデータベースから消すように要求することさえできない。恐ろしいことだ。webサイトで見る情報と本で見る情報では、頭の中の情報処理のプロセスが違うことが分かってきている。アメリカでは書店の売り上げが2015年から増加した。本の価値が認識されてきた。2017/07/09
Yasuhiko Ito
8
僕のような隠居生活者にとっては現代の夢のようなテクノロジー社会に感謝こそすれ、悲観することはないのだけれど、これから社会に出る若い人は本当に気の毒だ。主要な技術が高度化、ブラックボックス化し、ハードウェアでもソフトウェアでもサービスでも0.1%の富裕層が富を独り占めする世界で、どうやって活躍しろというのだろうか?日本の若者の大多数は薄給のサービス業で酷使されながら、アメリカ製のスマホでアメリカのサービスを利用し続ける奴隷に成り果てるのだろうか?まあ、彼らがそれで満足してるのならそれはそれでいいんだけどね。2018/10/12
乱読家 護る会支持!
7
所得上位0.1%の人だけが所得をさらに増やしていく。下位90%の人の資産は減り続ける。 エリートになるためのコストは高騰(幼稚園に年300万円、大学4年間で3000万円)。 シリコンバレー、自動車、石油製品、など、アメリカの製造業は復活している。 個人情報で儲けるフェイスブック。 情報革命が人を駆逐する。。。 社会主義国が電磁パルス攻撃兵器を欲しがる意味がよくわかります。近未来は、ターミネーター、マトリックス 北斗の拳? 2017/09/22
まめタンク
5
2019年24冊目。格差は拡大している。その昔は、給料の良い仕事に就くかどうかが格差の要因だった。それがいつからか、ピケティ的にいうrとgのの格差に繋がった。今や格差は全世界の支配へと拡大している。グーグルやフェイスブックがデータを独占し、圧倒的な低コストで社会の富を独占しつつある。かの昔、ロックフェラー率いるスタンダードオイルはアメリカの石油の8割を支配し、のちに独占禁止法によって分割された。IT界では、ウィナーテイクオールつまり勝者が総取りをする。もはやこれは、格差なのではなく新しい支配なのだ。2019/02/03