内容説明
ヤマトの大王の想われびと、女鳥姫と恋におちた隼別王子は大王の宮殿を襲う。愛と権力を賭けた血なまぐさい叛乱の夢は、大王の前にあっけなく破れ、隼別は女鳥姫とともに誅殺される。かつて宝塚でも上演され、劇画化もされた、「古事記」の中の濃密な物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
豆乳くま
34
表紙からは想像できない重々しく読むのにでとても時間がかかった。隼別王子とタイトルにありますが、結局のところこれはオオサザキ大王(仁徳天皇)と磐之媛太后の話であった。大王が恋い焦がれた年若い女鳥の姫は大王の年の離れた異母弟隼別王子と恋に落ちてしまった。権力で女鳥を我が物にした大王、力尽くで奪った隼別。日本のロミオとジュリエット、とあるけれど若さ故の了見の狭さと残酷さでしかない。何もかもわかったうえでの大王の残忍さ、そして太后の自分でも認めない大王への一途な愛の方に軍配を上げるのは私が若くないからだね(笑)2017/05/25
たけはる
14
読み終えて、なんとも言えない淋しさに襲われました。この物語に登場する人々は、誰も彼もうつくしく、かなしい。大鷦鷽と磐之媛の、酸いも苦いもぐっちゃぐちゃになりながらなお情から離れられない関係性が、しみじみと好きです。なんだかんだ、大鷦鷽の一番の妻は磐之媛だったのだろうな、と思います。こういう苦味と深みの滲む話を、私も書いてみたい。2019/07/30
ゆき
8
隼別王子と女鳥の姫の運命の恋を軸とした物語。古事記や日本書紀に記載されている内容が生き生きと書かれていて、とても分かりやすく切ない場面では涙が出そうだった。背景には、古代日本の壮大な歴史の一端も感じられる。隼別王子や女鳥の若々しい一途な恋と大后磐之媛や大王の独占欲や執着を感じる愛憎も古典のとっつきにくさを感じない。年齢を重ねるごとに感情移入できる人物が変わっていくそうなので、そんな楽しみ方ができるのも粋だと思う。2020/12/26
寝覚の朔
8
色んな人物の視点から代わる代わる語られる展開にちょっと戸惑いつつも、強く激しい愛憎劇で目が離せませんでした。破滅的な美しさで結ばれる隼別と女鳥、若い娘に執着する大王、大王と複雑な関係性で結ばれている大后。後半の大后を中心としたその後の話もまた……因果は繰り返し、運命は覆らない皮肉。結末には思わぬ裏切りもあり……久しぶりに古代史ものにどっぷり浸れる作品を見つけた気がします。 あと、これは里中満智子先生がコミカライズされたらピッタリだろうな……愛のために愛ゆえに愛があるから愛を求めて、という感じなので。2018/03/12
ベル
8
古事記や日本書紀の時代が好きなのもあって。 すごい恋愛小説でした。大恋愛ということではなく、恋におち、その先に残酷な死が待っていると解っていても留まれなかった隼別と女鳥、自分勝手な大王と、愛し過ぎ執着の強すぎる大后。隼別を愛した人たちや住ノ江、関わる人々全ての愛憎が濃かった。それぞれの視点で話が進んでいくのが面白かったです。田辺聖子さんの本、もっと読もう。2017/05/21
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