内容説明
◎WBC日本代表を支えたスコアラーの挑戦――表題作「最後のスコアブック」 ◎マスターズリーグMVPに輝く無名投手の再起――「やりなおしのマウンド」 ◎日本女子代表を世界一へ導く女子野球指導者の発見――「野球からの贈りもの」 ◎田中将大を擁しての全国制覇、駒大苫小牧高校監督の甘苦――「優勝旗のかわりに」など、戦力外通告からはじまる、敗れざる者たちの逆転ドラマ。『野球からの贈りもの』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シブ吉
79
野球に関する七つの話。登場する人たちが野球と向き合う姿。あがき、苦しみ、栄光、挫折。山あり谷ありを乗り越えながら、野球に魅せられてひたむきに努力する姿。それも、表舞台で活躍する選手のみならず、裏方で頑張っている人にも触れているのが心地良い。メジャー初の日本人審判を目指す人も、スコアラーも、野球教室の指導者も、高校野球の監督も、みんなみんな頑張っているのだ。野球からの贈りもの。「贈りものは、人によって違うから、これをもらえる、とはいえません。でも、間違いなく、一生懸命やるやつは、贈りものが、もらえるんです」2014/05/18
柊子
22
戦力外通告をされるのはなにも野球だけに限らないが、元々野球好きゆえ、こういう選手それぞれの人生模様は考えさせられる事も多いし、心に響く。淡々と書かれてあるのが好印象だった。2014/05/18
暁人
12
野球を題材にしたノンフィクション6編。「挫折と再生」「意志の強さ」が全編に共通するテーマか。▼ここに出てくる人物は、野球界では非主流派に属する。唯一駒大苫小牧の監督だった香田が日の当たる活躍をしたが、彼にも知られざる様々な苦悩があった。▼野球を通じて、「挫折=敗北」ではないことを改めて思い出させてくれる良作。読後感は爽やかだった。2014/10/21
おくりゆう
12
少年野球教室、スコアラー、マスターズ・リーグ、サムライアンパイア、女子野球部監督、そして三連覇の高校野球部監督。決して本流?ではない題材の数々ですが、淡々とした文体もあってなんと引き込まれるドラマばかりなことか。傑作ノンフィクションの謳い文句に違わない、大切なもの、気持ちを思い出させてくれる素敵な一冊でした。2014/06/01
Ikuto Nagura
9
毎年末にTBSで放映されるドキュメンタリー番組をさらに掘り下げたような、野球に人生を捧げた男たちの記録。プロ野球選手は現代の神であり、野球こそ唯一の国民的スポーツだと改めて思う。ペナントレースや日本シリーズ、キャンプやドラフトに契約更改、春夏の高校野球、これらと伴に一年は過ぎ去り、その記憶は蓄積して伝説となってゆく。そして野球は、自分の人生を振り返るときの歳時記でもある。野村ヤクルトと自分の高校時代。新谷のタイトルとイチロー最多安打の大学時代。この本を読みながら、いろんなことを思い出した。2014/05/31