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内容説明
怒りや悲しみ、妬みといった感情は理性とは相入れないという通念は間違っている。感情とは合理的なものであり、知性にも感情的な側面があって、両者は切り離せないものなのだ……進化心理学、ゲーム理論なども加味して説き明かす、行動経済学解説の新たな収穫。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史
22
私は少し違った角度の行動経済学も読んでみたいと思っていた。また、感情がどのように意思決定に影響するか、マッテオ・モッテルリーニ著「経済は感情で動く」あたりから気になっていた。それでか、愛と怒りに関するこの本に興味をもった。表紙の帯には「ノーベル経済学賞受賞者がこぞって賞賛!」とあった。何か凄い本らしい。著者エヤル・ヴィンターは1956年生まれ、イスラエルとドイツ国籍をもつ。数学、統計学、経済学を学び、ゲーム理論で博士号を取得。行動経済学は意思決定論が主役と思ったが、ゲームの理論も大変に重要なのだ。2022/03/04
びっぐすとん
19
図書館本。保険会社のCMで気になった「行動経済学」というキーワードで借りたが、これの前に読んだ「9割の買い物は不要である」が読みやすく面白かったので、こちらはどうしても学校の先生(大学の)が書いたお勉強臭さがあった。内容的には興味深かったが、翻訳がいかにもな感じだったのもあって、読んで楽しいとまではいかなかった。時々でて来る「ゲーム理論」、経済学では有名な理論だけど、以前解説書を読んでもよくわからなかったのが、ここでもネックだったなあ。行動経済学自体は面白そうなので、もっと読んでみたい2024/02/17
GASHOW
10
宗教の解説が素晴らしかった。子孫を繁栄させるために、子供をつくったときのインセンティブとして両親の面倒をみさせる。食べ物の決まりなど戒律が厳しいほど、同じ宗教の人以外とのつきあいができなくなる。また、宗教儀式があることでそれを受け入れる環境にすむことができる。おそしく計算されている。あと有性生殖がウイルス対策だとたった1ページでまとめきっている本もそうはない。また、遺伝子操作や人種浄化という間違いは倫理だけでなく生物としてそうだということがわかる。2017/10/05
まゆまゆ
8
感情のメカニズムと知性のメカニズムは協力し合い、支え合っている。感情は合理的な意思決定を妨げるものではなく、むしろ意思決定の後押しとなりうることを事例をもとに紹介していく内容。これまでの行動経済学とは少し捉え方が異なるけど、それもまたありといったところ。2017/06/05
デューク
6
感情面から行動経済学を解説した一冊。 なぜ人は利他的行為を取るのか、なぜ社会には怒りをあらわにする人が目立つのか、なぜ災害時に人は親切になるのか、なぜ男性が年上の夫婦が多いのか、なぜ謙虚な人が成功できるのか、などなど。この社会の「当たり前」だと思っていた事柄の数々が、明確な論理と、綿密な実験と、的確な考察により解き明かされていく様が痛快な一冊。人が感情を持つのは、それが進化の過程で失われなかったのは、感情が合理的な側面も持ち合わせているからだと思う。おすすめ2018/02/02