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内容説明
オスが1パーセントしかいないギンブナ、オスからメスに性転換するクマノミ、ハーレムを作るゾウアザラシ、メスに貞操帯をつけるギフチョウ、一夫多妻のオランウータンと乱婚のチンパンジー、おしどり夫婦ではないオシドリ……人間が男と女で苦労しているように、実は、生物たちもオスとメスの存在に振り回されている。それは子孫を残すための熱い戦い。その悲喜こもごもの世界に迫る一冊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆかーん
63
オスとメスはどちらが得なのでしょうか?哺乳類のオスは、メスのために全力で戦って命を削るのに対し、メスは子孫を残す為に守られて生きています。また、「XX」という同じ染色体を2つ持っている女性は、男性よりも生命力があり、生き残る確率も高いようです。そう考えると女性の方がお得に感じます。クマノミのようにオスからメスに性転換する生き物や、コモドオオトカゲのようにメスだけて生活する生き物もいますが、結局はオスとメスが個々に存在することが子孫繁栄に必要だそうです。オスとメスの役割の必要性を改めて感じました。2017/02/14
トムトム
34
生物学ビギナーさん向け!分かりやすい内容です。私は知っている内容ばかりで、ちょっと残念でした。経済力が許すのならば、日本も一夫多妻制にすればよいのに。家事や育児、はたまた仕事まで女性同士で分担できれば楽だと思います。他の一夫多妻制の国同様、全部の妻を平等に愛することという条件付きで。うまくできる男性は、良い感じのヒモ生活できるわよ♪そしてあぶれたオスたちは、悲しみの丘で幸せに暮らしましたとさ。2021/07/29
Yuma Usui
32
オスとメスの存在理由を解説。細菌から昆虫、植物、魚類からヒトまで広く横断的に雌雄の生態が示される。正直とても面白い。軽快な語り口でサクサク読めるが語られる生き物の多様性には目から鱗の連続。ただし、ヒラヒラ飛ぶつがいのモンシロチョウを素直にカワイイと思えなくなったのは悲しかったりする(メスは何匹もオスと交尾し精子をほぼ食事目的で摂取していたりする)。ヒトはなぜ一夫一妻制を選んだのか、生き物はなぜ死ぬのか、生き物がオスとメスに分かれて世界に適応する戦略を採った理由は大変興味深いものだった。2021/05/02
ま
21
オスとメスについて考察したオススメの本。「社会的一夫一妻制」「つがい外交尾」「複雄複雌の配偶システム」生物学の用語もなかなか絶妙に面白い。「人間は、…男女の差にこだわる。それは、人間が生まれつき男と女に分かれていて、男や女として人生を送るからである。しかし、生物にとって、オスとメスは助け合って子孫を残すための単なる役割分担にすぎない。生物の世界では、オスとメスの差異は、私たち人間が思うほど厳密ではない。」(p126)2021/10/11
けいこ
19
私の様なド素人が動植物の生態に興味を持つにはいいと思う。とても面白く読めたが、オスの一生が切なすぎて、切なすぎて 笑 子孫を残す、ただその為だけに生まれ、命を尽くす涙ぐましい進化の数々。あげく、オスは要らないとメス同士で子孫を残す種もいたり。中でもゾウアザラシは、強いオス1頭がハーレムを作り、メスを獲得出来なかった残りのオスたちが1箇所に集まる。その集まりを学者たちに『悲しみの丘』と呼ばれるなんて本当に悲しすぎる。それでも子孫を残す為には悲しみの丘に行くこともまた、重要な役目なんだろう。お疲れ様!2020/03/20