内容説明
スタンダード・ブックス第2期刊行開始!日本人初のノーベル賞を受賞した湯川は「科学界の詩人」と呼ばれ、端正な文章で人々を魅了した。鋭い観察眼と人間愛光る名随筆35篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
76
尊敬する人は湯川秀樹、って言われたらノーベル賞目指してるの? なんて揶揄めいた発想しかなかった過去の自分の蒙昧さよ。遅ればせながら私も尊敬したいけれど口にするのもおこがましい。尊敬対象とは距離はいくら離れていても良い、ただその方向を指し示すコンパスは持っていなければと思う。だからまずはコンパス探しの旅に出ることにする。何にそんなに感銘を受けたかといえば、平易で柔らかい言葉で表現された科学者としての矜持、表層だけさらっと読んでも素晴らしいのに、言葉一つ一つが深い意味を持つまるで曼陀羅のような随筆。再読必須。2021/05/05
アルピニア
50
ノーベル物理学賞を受賞した湯川氏のエッセイ。氏は、冒頭の「詩と科学」で、両者は出発点が同じ(自然を見ること聞くことからはじまる)だが途中の道筋が異なっている。そして行き着く先も同じではないだろうか。と記している。また、学問の進歩には辛さ(厳しさ、批判的)だけでなく甘さ(既成の概念や知識と相いれないようなものを受け入れる)も大切だと。そして学問は自分のため(自分の知りたいことを探求する)であると同時に人のためにもなるようなことでありたいと。読んでいてフィロソフォス「知恵を愛する者」という言葉を思い浮かべた。2023/04/02
kaizen@名古屋de朝活読書会
42
#説明歌 #短歌 短歌はね趣味なんですよ余技じゃない平生抱懐平板詠嘆 和歌休め頭脳安息健康法批評精神ときどき眠れ2017/03/17
わっぱっぱ
25
混沌(『荘子』)。湯川氏が好きな言葉の一つだという。ここ読書メーターにも何名か混沌氏がおられるが、誰もが一度は強く惹かれたり何かしらの経験を通して感じとったことのある言葉なのだと思う。科学は混沌を秩序へと変える学問なのだと思っていたが短絡的だったらしい。「目鼻をつけるな、混沌が死ぬ。」謎や不思議を感じなくなったとき、科学は死ぬという意味だろう。またこれは伝聞だけれど氏はこんな言葉も残している。「科学とは女性の足を舐めるようでなくてはいけない。」谷崎とは!こうなると私なんぞにはその言葉の意味するところは⇒2017/07/15
Fondsaule
20
★★★★★ 湯川秀樹博士のエッセイ。 方向が逆を向いているような詩と科学。 『しかし何だか近いようにも思われる。 出発点がおなじだからだ。 どちらも自然を見ること聞くことから始まる。』 すごすぎ。2022/11/13