内容説明
天才算術家関孝和に師事し、葛藤する中で円理を究めた高弟建部賢弘(かたひろ)。その苦闘の生涯を描く「円周率を計算した男」(歴史文学賞受賞)ほか、独学にして大酒飲みの奇才久留島義太(よしひろ)、算学者であり大名だった有馬頼ゆき(よりゆき)、百姓出身で孤高の算術家山口和(かず)など、江戸の天才数学者たちを主人公に、数奇な人生模様を情感溢れる筆致で描く、和算時代小説の傑作。『円周率を計算した男』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
253
江戸時代は当時世界でも抜きん出た数学先進都市だったらしい。関孝和や建部賢弘が有名で、残念ながら鎖国政策ゆえ世界にアピールできなかったが、実は数学世界一は我が国日本(江戸)であったことは間違いない!特に円周率の計算では史実の世界一は江戸の天才達が連なっていたらしい!誇らしい限りです!『天地明察』での遺題継承や絵馬勝負に興味を惹かれ本書を手に取った!うーーん、刺さらない!期待値が高すぎたのは私の勝手で申し訳ないが、肝心の『天才の天才たる所以と苦悩』なる要素が伝わらない。私の読解力の問題かな、内心残念‼️🙇2019/03/12
扉のこちら側
72
2016年1013冊め。江戸時代に活躍した数学者=和算家を主人公にした短編集。あくまで小説なので数学的なドキュメンタリーだけを期待すると物足りないかもしれないが、小説の面白さを求める人は楽しめる。一番面白かったのは巻頭の『円周率を計算した男』。オイラーより15年早かったとは恐れ入る。2016/11/27
コットン
68
さばずしさんオススメの和算時代小説。六人の日本の数学者の話で特に『円周率を計算した男』の円周率の二乗の無限級数展開式に至るまでの兄や妻のバックアップが涙ぐましい。小説では無いが『オイラ―の贈り物』を読んだ時にも似た軽い数学的興奮も味わえる!2017/04/29
エドワード
29
「天地明察」の安井算哲や関孝和をはじめ、江戸時代の日本の数学は海外に匹敵するレベルだった。特に「円周率を計算した男」の執念には驚かされる。計算には紙が必要で、家中の紙に筆で数字をかきまくる図がしのばれる。武士が戦をしなくなった時代、和算は学芸とされ、格式と流派にしばられる一方で、算額に代表される実力主義も生まれていた。しかし諸役勤務や町村の仕事の傍らでの算学修行には困難もつきまとったに違いない。どの話にも妙齢の女性の姿が見え隠れして、今ならオタクの最たるモノの数学者が何故かモテるのが面白い。2017/07/25
タツ フカガワ
16
鎖国によって海外の情報が遮断された日本で、独自に発達した数学が和算。その和算にとりつかれた男たちの6つの短編には愛や忠義、真理への求道などさまざまなドラマが描かれる。なかでも「算子塚」は、剣術に置き換えてもいいような算法の応酬と、読後の切ない余韻が印象的な作品でした。2016/11/10
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