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内容説明
この二〇年あまり、多くの国で格差の拡大が進んだ。経済は停滞し、国家の再分配政策も機能していない。そうしたなか、所得の低下に苦しむ人々の不安や怒りが、政治を大きく動かし、社会の分断をさらに深めている。いま、この不平等の問題を克服するためにどう考えればいいのか。本書では、私たちが尊重すべき「平等な関係」とは何かを根底から問いなおし、そうした社会を可能にするための制度を構想する。カント、ロールズ、セン、ハーバーマスらの議論を糸口に、現代の最難問にいどむ、政治思想の新たな基本書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
48
政府による補償は必ずしも持続可能な発展をもたらさない ― むしろ「ハコモノ」の維持費などが地域の発展を阻害するかもしれない ― という認識、負の遺産を将来世代にのこすことへの危惧、国家の政策に過度に依存し、それに振り回されてきたことへの反省などを通じて、市民は、負の財を引き受けることによって損なわれ、失われる利益や価値への認識を獲得してきた(041頁)。いいこと書いてある、現町長よ、熟読していただきたい。あなたは、無駄づかいしておるぞよ。2017/08/06
ゆう。
30
ロールズ、ハーバーマス、センの理論を糸口に、市民としての平等論とは何かを考察した内容です。僕は勉強不足のため、とても難しかったです。社会福祉についても、事後的な制度から事前的な制度へと変革することを提案し、自由権を保障することで、自らの生に対して自律的に生きることの重要性を指摘しています。このことは一つの平等論的思考だと思いますが、僕は自由権保障に留まらず社会権を保障していくことが平等論を考えるうえでは重要ではないかという思いも持ちました。2017/05/09
ヒデミン@もも
24
結局、依存していてはいけないということ。2019/09/15
kotte
16
私には極めて難しい本でした。なんとか読み切りましたが、理解しているかと言われると疑問です…少し時間を空けて再読したいです。2017/05/31
ネムル
13
ロールズやハーバーマスなどを参照にしながら経済、保障、障害、デモクラシー等々の不平等が検討される。じっくり読むべき本と思う一方で、この網羅的な試みが新書という体裁と上手く合致してないのではないか。ベーシックインカムなど具体的な政策も俎上に上がるが、「理論入門」の本と取り合わせが良くないのじゃないかと、上手く内容に焦点を合わせられないまま読む。ただしまあ自尊、寛容、レトリックなど個々のトピックがちょびちょび面白いので、そこだけはメモをとる。2020/06/11