内容説明
日本が近代化への道を急いでいた明治17年。下働きの少女ミサオは、米国への留学船で、姫君の身代わりに仕立てられていた。船酔いと折檻まがいのしつけの日々。が、ある夜ミサオは、運命の人・光次郎に出会う。上陸後、美しく成長したミサオは、青年光次郎と再会するが、皮肉にもオーストリアの子爵家の血を引くマックスに求婚され、二度と日本に戻らぬ決意で欧州へ嫁いで行く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
83
ハードカバーにて読了。どっしりとした歴史小説をこんなにも興味深く読むことができる幸せをかみしめながらの読書。上巻358ページは全く長さを感じなかった。たった12歳の少女に降りかかった人生の厄災とも言える出来事。知らぬ間におひいさまの身代りとなり見知らぬ国へ売られるようにたどり着く。船の中での身も心も壊れてしまうような地獄。異国での緊張。それでも何と我慢強く賢かったことか。自身の出自などとうの昔にすて、人の人生を活きる辛さを深く秘めミサオは今日も異国の地に立つ。下巻にはどんな運命が待っているのか。2016/02/05
goro@the_booby
59
再読了。時間を忘れて没頭出来る本が一番面白いのだ!明治初期、富商の娘三佐緒の身代わりとして海を渡ったミサオ。ただ一人の肉親である妹とも別れ、鬼のような乳母お勝に操られ耐え忍ぶが、ミサオ自身が輝き始める。渡航の船中で逢った後の造船王光次郎、想いを寄せるマックス、物語はミサオの運命を大きく揺さぶる。再読でも面白い。漸く一人の女として生き始めたミサオがどうなるのか下巻へ!2019/06/13
James Hayashi
29
大河ロマン。国立西洋美術館の母体となった松方コレクションの松方幸次郎(父は首相、エール大留学後、川崎造船所や数々の社長を歴任。衆議院議員)を端役に、想像上の人物と思われるミサオ(クーデンホーフ光子と似て非なる)が明治期の日本から渡航しオーストリアの子爵へ嫁ぐ。元々下働きの身ながら姫君の身代わりとし数奇な人生を生きるが、明治期の復興の気配を感じながら描かれる人物に心を奪われる。15年過ごしたオーストリアで夫を亡くすミサオ。時代は第一次世界大戦前。波乱万丈の人生が伺える。下巻へ。 2016/02/29
ミカママ
28
正直、とっかかりが入りにくくて読むのやめようかと思ったことも。主人公がアメリカに上陸したあたりから一気にいけました。下巻で詳しく。2013/05/13
kaori
21
米国への留学船で下働きの少女が姫様の身代わりに仕立てられ、流されていく。重い。苦労がつきまとう。状況が少し良くなったら、また苦労、不幸、問題がおきる。この繰り返し、読んでて辛い。読み終わってグッタリ疲れた。2015/01/12