創元推理文庫<br> 青鉛筆の女

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創元推理文庫
青鉛筆の女

  • ISBN:9784488256098

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内容説明

2014年カリフォルニアで解体予定の家の屋根裏から発見された貴重品箱。なかには三つのものが入っていた。1945年にウィリアム・ソーン名義で発表された低俗なパルプ・スリラー。編集者からの手紙。そして、第二次大戦中に軍が支給した便箋――ところどころ泥や血で汚れている――に書かれた、おなじ著者による未刊のハードボイルド。反日感情が高まる米国で、作家デビューを望んだ日系青年と、担当編集者のあいだに何が起きたのか? 書籍、手紙、原稿で構成される凝りに凝った物語。エドガー賞候補作。/解説=村上貴史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

343
ジワジワとくる作品ではあるが、分かりづらいし、出版社の煽り方が紛らわしい。日本のミステリに慣れている人ほどアッサリ読了して肩透かしな気分を味わった後に、だんだん"くる"ものがある。しかし、とにかく分かりづらい。何も気づかずに普通に読み終える人も結構いそう。とんでもない凡作としても違和感なく成立してしまうからタチが悪い。こういう、ラストで重要な何かを一気にひっくり返すタイプのミステリは日本人は上手だし世界にもっと発信していっていいのかもしれない。などと生意気にも思ってしまった。2017/05/18

夢追人009

121
本書を愛する方には心から謝罪致しますが、私にはどうしても駄目でした。不思議な事をたくさん書いて曖昧なままで後は読者にお好きに考えて下さい、というのでは誰でも書けるでしょう。私は本書を高評価する米国の書評家も責任重大だと思います。高尚な視点というまやかしに目が曇らされてミステリー本来の本質を完全に見失っているのだと思います。専門家が褒めているのだからと影響される方が多数いらっしゃるのでしょうからね。どうか皆さん作家に気を遣わずに(私の様な酷評の意見から作家に同情したりせずに)冷静に判断して目を開いて下さい。

のぶ

72
とても凝ったプロットの作品だが、かなり癖のある本だった。太平洋戦争の時代を背景に、スリラー小説、その本の編集者から作者への手紙、未完のハードボイルドの原稿の3つの話が語られていく。280ページ程度の作品だが、何重もの入れ子の構造になっていて、自分はこの構成がつかめず、何となく分かってきたところですでに半分が過ぎていた。なので具体的内容につての感想を残す資格はなさそうだ。いずれ再読してから投稿をしてみたい。大変に読み手を選ぶ作品だと思う。2017/05/02

空猫

35
2018[ミステリが読みたい]7位。日系米国人が妻を殺された犯人探し、朝鮮系米国人の日本のスパイ組織での殺人事件、デビュー作を執筆する作家に指示を出す編集者、が交錯して物語が進む。真珠湾攻撃が起こる前と後で世間が豹変する様子はリアルだった。[青鉛筆]ってそういう意味か➰ なるほど面白い構成だけどイマイチ中途半端だし、相性のせいか読み進めるのにひどく苦労した。途中斜め読みしてなんとか読了。ふぅ。2017/12/04

マムみかん(*感想は風まかせ*)

35
ちょっと期待が大きすぎたのか、花粉症で頭がモヤっているせいなのか、ミステリーとしては普通だったかな。 寧ろ、新人作家残酷物語って感じが強かったです。 もちろん時代のせいもあるのですが、あの編集者の手紙…青鉛筆による修正の嵐には気が滅入りました。 真珠湾攻撃以降の、アメリカ社会の日系人への仕打ちの数々にも衝撃を受けます。 なぜ『改訂版』が書かれたのかを思うと、涙を禁じ得ません~☆2017/03/28

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