内容説明
著名な経済学者のロドニーは結婚式をまえに、気もそぞろだった。途上国の開発援助に打ち込んでいた彼を恋のとりこにしたのは、現地調査で出会ったベトナム人の少女だった! 国連や世界銀行のエリートたちの裏の顔をスキャンダラスに描き、あのトマ・ピケティが絶賛した長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バーベナ
6
どれだけ美しいんだヴィッキー。そして、統計でいくらでもつくりだされる、または撲滅される貧困者。訳者あとがきによれば、主人公たちはピンポイントで実在の人物が浮かぶそうです。皮肉が強すぎるわ。2017/04/12
きうりっち
3
あちこちユーモラスな箇所はあるのだが、全体にとりとめない印象で,何を読んだか分からなくなる。貧困を食い物にしている先進諸国という、わりと大多数の人が理解している構図を改めて見せつけられたということしかメリットなしの作品と感じる。なにに寄らず善意に基づいているような組織は時間が経つうちに腐敗していき、結局そこで働いているひとたちを潤すための組織に堕落していくというイメージが強まっただけみたいだ。読んでるうちにだんだんうっとうしくなってしまった。結局ヴィッキーはまた貧しい生活にもどってしまったのか?2021/12/14
dani
3
ドン・リーって、パン・ギムンがモデル?それはともかく、我ながら良く最後まで読んだと思う小説。ピケティは絶賛したのかもしれないが、自分には合わなかった。2017/04/15
511
2
偏見がかっている自覚はあるが、「全てのフランス文学は悲劇的であり、自堕落的であり、自虐的であり、ダメ男の物語」でなければならない、なんてルールでもあるのだろうか? 読み終えたはいいが、あまり楽しめなかったし、印象に残ったものもない。ただのダメ男のダメダメな性生活、以上、という感じ。ウェルベックと違ってユーモアもないし、なによりダメっぷりが中途半端。ウェルベックの男たちは開き直ってるか、自分の気持ち悪さに無自覚という「突き抜けた気持ち悪さ」を眺める珍獣的な楽しみがあるが、本作にはそれがなかった。 2021/05/18
いっこ
2
「ピケティ絶賛」というので、飛びついた。はじめ、選択を誤ったかと思った。スティグリッツなど実際の経済学者の名前も出てくるが、登場人物の殆どはいかがわしく、欲望の虜。余華の『兄弟』みたいだ。著者はニューカレドニア出身という。名声や地位のために貧困問題に取り組む先進国の経済学者たち( そうじゃない人も勿論いる)に対する痛烈な風刺小説だ。2017/06/08