内容説明
セラピーキャットの「ヒメ」は、白猫のメス。アニマルセラピーを実践する飼い主に、セラピーキャットとして育てられてきた。ヒメを撫でると、病に苦しむ人が笑顔を見せる、名前を呼ぶ。ヒメも自分から患者の膝に乗っているようなのだ――。長年アニマルセラピーを取材してきた著者が、原発事故後のシェルターで、老人ホームで、病院で、猫の持つ癒やしの力の謎に迫ります。かわいい猫の写真がいっぱいです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
82
猫は癒しではなく治療だ、認知症、統合失調症、知的障害などを抱えた人に寄り添うセラピーーキャットヒメ、猫と触れ合う事によって言葉を発したり、目が輝く。原発事故後シェルターで飼い主を待つ動物だち、街に取り残されて彷徨う動物の話は胸が痛む、人間である事が心底嫌になる。ここに出てくるペットと一緒に過ごすことができる老人ホームがもっと増えればいいと思う。2017/06/09
7a
7
重度の認知症や知的障害、統合失調症などを抱える患者のもとへ通うセラピーキャットひめ。表紙のひめちゃんは耳が寝ていて緊張気味。でもいざ病院に入れば自分を必要としている人を見分けて膝の上で大人しくしているのだから大したものだと思う。自分に害を加えようとする人に牙をむく犬、敵意を持つ人には近寄らない猫が、突然奇声を上げたり力加減がわからず叩いてしまったりする患者から逃げないのは、感情を理解しているからだと思う。この人は私を傷つけたくてしているわけではないと。尻尾を引っ張られても赤ん坊から離れない猫もまさにそれ。2018/06/07
Humbaba
4
生き物には人を癒やす力がある。なぜなのかを追求することは重要だが、例え判っていない状況であってもそれを有効活用することは悪いことではない。嫌いな人もいるし、喘息等の健康面に問題を与える可能性もあるので全員にとって最適にはならないかもしれないが、使える人にはせっっ曲的に使っていくのは効果的である。2017/04/27
patapon
2
表紙のヒメちゃんの堂々としたプロのセラピストとしての仕事っぷりに感銘を受ける。そしてそれ以上に「逆セラピー」と言われていた臆病で気の弱いセラピードッグに対して癒しを受ける立場の人々が「守ってあげなければ」と気遣うようになった例が印象に残った。以前、「何もできないロボット」が人間の庇護欲を生み出したという内容の本を読んだが、誰かを何かを思いやり労わる気持ちが生まれる時、一つの壁を乗り越えることができているんじゃないかと思う。うまく考えがまとまらないけれど。2020/04/22
gasparl
2
介助が必要な人のケアとして猫がセラピーとして用いられるというお話であるが、飼い猫を不用意に増やしてしまったり野良に過剰な餌やりをしてしまうなど猫に依存してしまうのも孤独な老人であったりメンタル不調の方々がしてしまう事が多い。この本のケースは施設での施行中の話だが、何らかの形で広くこの猫が人に及ぼす不思議な力を生かせる方向になれば、と願う。2017/09/03