内容説明
ぼくらが公園に行くたびに見かける男の人の名前は「よみさか」。ジャンケンに負けたぼくが、初めて声をかけた日、友達のタクミがいなくなった!(「すれちがう」)小説家の俺は稀代の殺人犯・佐藤誠について調べていた。これから会う人は、彼の真実に最も近しい名探偵だ(表題作)。変わらぬ日々にもがく人々の姿を通して、郷愁と感傷の先に待つ、かすかな希望を描く青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミーホ
35
前作よりマニアック度が高いなーと思ったけど、単に最近のゲーム事情に疎いだけなのかもw 唯一胸を張って知ってると言えるのは《どうぶつの森》くらい。発売当初どう森柄の3DS買ってしばらくハマってたけど、飽きたらそれっきり(笑)マイクラが出たらこの本体使えるのかな?どうでもいいですね。そんなわけで序盤は取っ付きにくかったものの、どう森と詠坂雄二登場の「すれちがう」でロックオン☆ラストの表題作で月島凪登場に・・・って時事的にまずいので自重。ゲームのロード時間を人生になぞらえるのが腑に落ちまくった。続編出てほしい。2017/04/18
buchipanda3
30
ゲームネタを題材とした青春ミステリ短編集。語っているのはゲーム絡みの話だが、前作同様に人生の迷いと覚悟のようなものが見え隠れしていて結構味わい深い内容だった。今回は新しめのゲームネタが題材。昔ながらのゲーマーである柵馬は「変化」に戸惑う一方で、その必要性も認める。それはそのまま生き方にも当てはめて語っているようにも思えた。「たかがゲームじゃないか」、そんな言葉が時折り挿まれるが、その裏側に真剣さへの照れ隠しのようなものが感じられる。ローディング時間か。そんな風に考えたことなかったので結構心に響いた。2017/08/22
タカギ
21
今のところ私のベスト詠坂。すごく好き。『インサート・コイン(ズ)』の続編で、短編が5編。懐かしいゲームを扱う割合は前作より減っているけど、あるある感、ぐさっと刺さる感は今作のほうが強い。私は少しはゲームもするので、考察にほえーと感心したり、分かるわーと思った部分もあるけど、全然しない人はどうでしょうね? そこそこは楽しめると思うけど、少しはやってたほうがいいのかな。あと私はノスタルジックを褒め言葉だと思って使ってるので、それを捧げます。2022/07/21
coco夏ko10角
18
第2弾。前作から約二年後。自分とゲームの向き合い方。お話は『すれちがう』がよかった。表題作ではあの名探偵と遠海事件について。2021/03/16
波多野七月
16
希望のない世界に立つ人間だけが、必要とする物語がある。前にも後ろにも進めずに、停滞の前に所在なげに佇んでいる。それでも、まだそんな自分を諦められない。なんてエグいくらいに、容赦なく抉じ開けてくる作品なんだろう。『インサート・コイン(ズ)』でやられて、続くこの『ナウ・ローディング』で完全に詠坂雄二という作家に落ちた。収録された短編の中でも、少年達との邂逅を描いた『すれちがう』が特に胸に迫った。あの少年達は、いつかこの日のことを思い出すだろうか。失われた世代のためのミステリ短編集。2017/01/29