内容説明
一月十日午後九時、未帰宅者の一報を受け柴崎警部は高野朋美巡査らを急行させた。九歳の女児、笠原未希はどこへ消えたのか? 早期保護を目指し指揮を執る綾瀬署署長、坂元真紀。主導権を奪おうとする警視庁捜査一課。未解決事件の悪夢に悩まされる千葉県警。キャリアまでを巻き込んだ事件の捜査の行方――そしてその真相とは。名手が持てる力の全てを注ぎ込んだ、長篇警察小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サム・ミイラ
140
このシリーズ初の長編。なので読みごたえは十分。ただ短編ゆえに成立していたこの作品独特の世界観が失われたようで少し残念な気もする。それにしてもすぐそこにある真相にわずかに手が届かない、全貌が掴めない、そんなもどかしい展開を書かせたら実に上手い作家だ。女児連れ去り事件を緻密に丁寧に描いたこの作品では特にそこを堪能出来るはず。これ以上は何を書いてもネタバレになりそうなので最後に一つだけ。ますます「隠蔽捜査」シリーズに近づいてきたような。もちろんいい意味で(笑)2017/02/28
いつでも母さん
119
被害者のお兄ちゃんが何か握っていそうで、ジリジリしながら先へ先へとページを捲った。読後はほっとしたのとこの父親に憤りより、怒りと恥ずかしさを感じた。父として、人としてどうなのよ!!娘・未希ちゃんが痛ましくてならなかった。それにつけても・・綾瀬署のいつもの皆は皆のままで(笑)そしての管轄間のメンツの張り合いは相変わらずで・・だが今回、高野の成長が何より嬉しかった。これからもガンバレ!で、柴崎警部はもう少し、ここ・綾瀬署にいて欲しいと切に願った。2016/09/24
タックン
102
これシリーズ物だったんだあ!!久々に本格的な警察小説の傑作を読んだ。途中からでも面白くて一気読み。特に後半の真相に近づいてからがよかった。真相での真犯人と伏線での被疑者との絡ませ方が秀逸だった。真相は哀しいの一言。でも題名の(広域指定)はいかががものか?始めはそれを期待しての読書になったから途中まで面食らってた・・。高野巡査の目と女性キャリア署長の坂元の決断力・2人の女性のキャラが光ってた。前3作を読まないとな。誉田さんの姫川シリーズと並び称されるかもなあ・・・・? 2016/11/04
KAZOO
96
安東さんのシリーズ4作目です。今回は管轄地域内の女の子の誘拐事件で綾瀬警察署を含めて本庁の捜査1課などが出張ってきます。途中女子が殺害され読んでいるものにとっては比較的犯人がわかりやすいのですが、千葉県警まで絡んできます。どのように解決していくかがよりも説明されますが主人公よりも若い女性刑事の成長が目覚ましいものが描かkれます。 2021/09/06
扉のこちら側
95
2017年11冊め。どうやらシリーズ物らしいと読み始めてから気づくが、前作を知らなくても単体で読める。9歳女児の行方不明事件が発生、という冒頭からはどう考えても少女に幸せな未来は想像できない。そして二重三重にも裏切られ傷つけられる彼女が可哀想で仕方なかった。派手な盛り上がりはない分、引き込まれたと思う。2017/01/08