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内容説明
信憑性の高い史料を基に、江戸時代の犯罪と刑罰についてわかりやすく紹介。 児童虐待、介護の悲劇、夫婦間トラブル、通り魔殺人、多彩な詐欺……現代に横行する犯罪のほとんどは江戸時代にもあった。江戸時代ならではの犯罪、貧しい少女による放火、巾着切や盗人たちの独特な作法と生態、同心や岡っ引きによる特異な捜査など、現代との隔絶ぶりにも驚かされる。犯罪を通して覗き見る、江戸の真実がここに!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりお
45
江戸で起きた犯罪、それを裁いて記録した様々な文献から江戸時代の犯罪と裁判、処置について調べるもの。犯罪にはスリ、詐欺、強盗、子殺し、放火など。裁判の内容を読むと、どうも情に傾きすぎてる場面や、裁く側の匙加減がある場面も。余地があるなら良いが、これはやり過ぎだと思われる判決がいくつかあった。これがあるから今と変わらない所もある。後、死罪の中には死体を試し切りに使うものがある。初めて知った。市中引廻しの印象が強すぎる。2017/03/31
澤水月
37
死刑にも種類があり斬首のみはマシ、身体を試し切りされる屈辱刑があった、斬首役人で有名な浅右衛門当人でなく弟子がのんびり“処理”の絵!スリがお上お仕着せユニフォームを着、窓口!で金目以外の大事な証文類は帰る…と江戸マニュアルを加賀知人に書き送る学者。「出来心」か意図して盗んだかで大きく死と生が変わる刑罰事情(鍵こじ開けると重いので雨樋伝いに空いた部屋や隙間から忍び込む盗人も)。女に斬り殺された被害者の武士も咎められるので死骸に生きたふりさす!一番驚きは自白させられた冤罪を実験で晴らす例。江戸時代は深い2017/01/10
そうたそ
15
★★★☆☆ 古文書から江戸時代の犯罪を読み解く一冊。現代では犯罪が凶悪化したとよく言われるが、これを読むと江戸時代だってそう変わりはないし、なんなら現代の方がいかに平和かがよく分かる。こうして読むと、犯罪は今も昔も変わりないなあと思う一方で、江戸という社会ならではの裁きなどもあり、総じて面白い一冊だった。2020/01/13
Foufou
13
寝物語風の軽い読み物。にしても江戸時代の死刑の数の多いこと。寛政期の江戸だけで年間300以上の首が刎ねられたというから、死刑のない日はほぼないということ。同じ死刑でも、死罪、斬罪、下手人と三種あって、死罪は首を刎ねたあと、将軍家に奉納される刀剣の切れ味を試すべく遺骸は御様場(おためしば)に回され、頭も胴も切り刻まれる。罪人の前の地面には穴が掘られていて、これを血溜といった。罪人の服を汚さずにすぱっとやるのが斬首役の腕の見せ所で、血溜は別名「土壇場」。ドタキャンなんて言葉にとんだ歴史が隠れている。2022/07/27
getsuki
10
江戸時代のダークな部分を網羅した一冊。現代とさほど変わらない動機で罪を犯す人、犯罪に独自の美学を持っている人など、興味深い。また、犯罪者を裁く側も自白に頼りすぎず、緻密に証拠を積み重ねている判例もあって勉強になります。時代小説好きさんに読んでほしい。2017/02/02