講談社学術文庫<br> 道徳教育論

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講談社学術文庫
道徳教育論

  • ISBN:9784062919920

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内容説明

宗教に依拠せず、自律した個人を確立する道徳教育とは――。『自殺論』『社会分業論』で実証的社会学を創設したデュルケムは、「規律の精神」と「社会集団への愛着」こそが道徳性の主要な要素であると説く。学級と教師の役割、体罰の禁止、科学教育の必要性など、現在の「教育問題」になお力強い方向性を与える、20世紀初頭のソルボンヌでの講義録。

目次

緒言  ポール・フォコンネ
開講講演 教育学と社会学
第一講  世俗的道徳
第一部 道徳性の諸要素
第二講  道徳性の第一要素──規律の精神
第三講  道徳性の第一要素──規律の精神(続)
第四講  道徳性の第一要素──規律の精神(完) 道徳性の第二要素──社会集団への愛着
第五講  道徳性の第二要素──社会集団への愛着(続)
第六講  道徳性の第二要素──社会集団への愛着(完) 二つの要素の関係と統一性
第七講  道徳性の二要素に関する結論と道徳性の第三要素──意志の自律性
第八講  道徳性の第三要素──意志の自律性(完)
第二部 道徳性の諸要素を子どもの内部に確立する方法
その一 規律の精神
第九講  規律と子どもの心理
第十講  学校の規律
第十一講 学校における罰
第十二講 学校における罰(続)
第十三講 学校における罰(完)と褒賞
その二 社会集団への愛着
第十四講 子どもの愛他主義
第十五講 学校環境の影響
第十六講 学校環境の影響(完) 科学教育
第十七講 科学教育(完)
第十八講 芸術的陶冶と歴史教育
解説  訳者
学術文庫版のあとがき  麻生 誠

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

isao_key

5
1902年から1903年にかけて行ったパリ大学文学部「教育の科学」講座の講義録。ヨーロッパの近代学校において重要な問題となったのが宗教教育と道徳教育との関係であった。フランスでは「宗教教育は家庭と教会に属し、道徳教育は学校に属す」という立場をとった。本書は世俗的道徳教育を社会的に基礎づけたという。規律について「規則が従わればならないゆえんは規則そのものにあるのであって、それが命令する行為や、行為が予想する結果にあるのではない。規則は命令する、というまさにこの事実のためにこそ、規則は従わなければならない」 2018/11/26

ああああ

1
他人と共に行動したり考えたりする習慣を身につけ、 非社会的人間にとっては重い鎖ともなるこの社会的絆を愛することを学ばねばならない。そして共同生活に比べたら、孤独な生活から得る喜びが、いかに味気なく生気に乏しいものかということを、経験によって学びとらねばならない。 共同生活にたいする愛好心には、ある気質、ある精神的体質ともいうべきものが存在しているのであって、それは反復練習によってのみ形成されうるものであり、それゆえ、絶えざる訓練が必要である。3812023/02/04

生魚

0
なんだかんだで、道徳を説明できるかと言われたらできなかったが、デュルケムの道徳の説明は明瞭だった。集団に重きを置き過ぎているような気もするが、デュルケムの言ってることには好感を抱く。2013/10/26

Naoki

0
文章の要約練習に使った本。道徳の要素とその教え方について書かれている。これまであまり教育関連の本を読んだことはなかったが、道徳については興味があったので面白かった。なるほど、と思うところもあれば、独りよがりな根拠だと思えるところもある。が、道徳とは何か、とそれを教えるには、という哲学×教育学の内容でこのトピックへの関心が高まった。

まつゆう

0
いくつか「ん?」となるような少々怪しい話もあったが、デュルケムの生きた時代が革命期のさなかで、非宗教的教育の実践が求められていた一方で、「宗教によらない道徳教育は可能か?」という意見が対立していた時代背景を踏まえて、過激な表現を自分なりに咀嚼すれば、今なお通じる道徳の有意義な議論だろう。2012/10/24

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