キリスト教神学で読みとく共産主義

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キリスト教神学で読みとく共産主義

  • 著者名:佐藤優
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • 光文社(2017/02発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334039691

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内容説明

ロシア革命100周年。トランプの勝利は、労働者階級の勝利か? 世界が覆う格差・貧困。新自由主義=資本主義が生み出す必然に、どう対峙するか? キリスト教神学的アプローチで、廣松渉『エンゲルス論』を読み直す。(『共産主義を読みとく―いまこそ廣松渉を読み直す『エンゲルス論』ノート』改題)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

14
哲学科卒ではない一般のビジネスパーソン向け、って序盤で書いていたけど、生まれた時には既にベルリンの壁が崩壊していた世代にはそもそも知らない述語ばかりで参った。廣松っていう人が東大という体制の側から革命家としてどのようにエンゲルスを「誤読」していったのかという過程を、著者自身のマルクス主義者にしてキリスト教徒というバックグラウンドから、「主観的に」批判するという入り組んだ構造になっている、と思う。なわけで、そもそもヘーゲル、フォイエルバッハ、エンゲルスあたりについて基本的なこと知っていないと途中で挫ける。2017/07/09

Z

8
ギャップを重視した。シェリングはカバラーの思想、神の自己収斂を取り入れた。これが難しいが、世界が完全に神の設計図通りに作られているのではなく、人間の自由意思に余地を残し全知全能の支配に空白を残すというのがこの理論を取り入れた場合の帰結となる。例えば悪の存在は神が作ったのではなく神の力が及ばない空白で人間の自由意思の悪用により生じるものとなる。というよりそのようなイデア(神)と実在(世界)の解離こそ悪の存在理由である。他方フォイエルバッハは神学的な思考をまったく認めず、神は人間の空想物とした。今までの流れで2019/01/17

Z

8
では、エンゲルスがマルクスとは独立に疎外論から離れていった思考過程を追う。マルクスの理論はヘーゲル哲学の転倒ということが言われる。エンゲルスがその地点に経ったのはヘーゲルを批判した後期シェリングやフォイエルバッハを通してである。ヘーゲルの言葉には現実的なものは理性的であり理性的なものは現実的であるというものがある。歴史を絶対精神の支配する過程とするヘーゲルにとって、理性=イデアと現実的なもの=実在は時間的なギャップをはらみつつも最終的な統一が予感される。後期シェリングはイデア(観念、理想)と現実(実在)の2019/01/17

kenitirokikuti

7
KindleunLimitedにて。再読。初出は第三期「情況」2008.1・2号~09年6月号に連載した「今こそ廣松渉を読み直す」である。05年に佐藤に一審判決&『国家の罠』出版。この連載中の08年9月にリーマンショック。そして連載を終えたすぐあと09年7月に衆議院解散、第45回総選挙で民主党政権が発足。といった背景▲まぁ、そういう地上の話とは別に、〈著者のような絶対観念論者〉〈神は観念によってのみとらえられる〉という佐藤の言葉で彼の信仰が理解できた。やっぱ彼はプロテスタントだが、私はそうではない2022/06/16

Z

7
いうとイデアはない。実在=人間と自然しか存在しない。神は人間が作った創造物でそれにより人間が疎外されており、そのような空想物と等価な抽象的、絶対精神なども否定する思想を展開した。エンゲルスはフォイエルバッハに始め関心をもったが、のちフォイエルバッハの持ち出す類的人間に疑問を持つ。アナーキスト、シュティルナーのように唯物論を突き詰めれば個的人間しかおらず類的人間は存在しない。フォイエルバッハは神を退場させたのはいいが理論構造はそのままで神の場所に類的人間という観念を取り換えただけである。この観念を上位に据え2019/01/17

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