学歴貴族の栄光と挫折

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学歴貴族の栄光と挫折

  • 著者名:竹内洋【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 講談社(2017/02発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062920360

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内容説明

白線入りの帽子にマントを身にまとう選良民=旧制高校生は、「寮雨」を降らせ、ドイツ語風のジャーゴンを使い、帝国大学を経て指導者・知識人となる。『三太郎の日記』と「教養主義」、マルクス主義との邂逅、太平洋戦争そして戦後民主主義へ……。近代日本を支えた「社会化装置」としての「旧制高等学校的なるもの」を精査する。――<解説・関川夏央>

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲオルギオ・ハーン

10
旧制高校関連の小ネタや戦前の学生文化を紹介している点は面白かったけど、社会としてエリート教育とはどんなものか、学歴エリートを再生産するとはどういう狙いがあったのかという視点が欠けているため学生文化を紹介した一冊になってしまっている。具体例を出すのはいいんだけど、後の文化人や作家が当時の典型的なエリート学生というのは腑に落ちない。教養主義の学者らしく、理系学生は取り上げず、軍人に教養がないとするのは偏見ではないかな。単年度の学生の読書アンケートを張り付けて昔は教養が重視されていたというのも適切なのかと困惑。2020/07/14

無重力蜜柑

5
「教養主義」と称される独自の文化を内面化し、官民学の各界に張り巡らせた人脈で「学歴貴族」階級を生産した旧制高等学校。その制度と文化の変遷を描く。精密な史料批判に基付きつつ所々で大胆な仮説や解釈を打ち出す姿勢が歴史学として洗練されている。解釈の理論として利用されるのは文化資本や階級の議論で有名な社会学者のブルデューなど。それなりに分厚い本だが主張と論証は明確で、小説のように面白い挿話もあって非常に読みやすい。2021/01/29

きさらぎ

4
明治から昭和40年代の全共闘まで、「学生」とはどんな集団特性を持ち、社会でどのような層を構成し、どう自己認識し、どう周囲から見られていたかを、出自・愛読書・受験制度などのデータを元に時系列で辿った本。イギリスのパブリックスクールが、学費が高く元々の上流階級の教養を基礎としたのに比較すれば、官立学校がメインだった旧制高校は開かれた場ではあったが、その中で学歴エリート独特の気質が形成されていた。それが戦後どう崩壊していくか。この時代における「青年」のメンタリティに興味がある向きには非常に刺激される本だと思う。2016/10/13

ロピケ

4
萩原朔太郎は、旧制第五高校で2年時進級時に落第し、第六高校に入りなおしている。あの時代に群馬から熊本や岡山へ進学するってどういう事なんだろう?とずっと気になっていた。それに漱石の入学した東京大学予備門が第一高等学校になった経緯などもピンとこなかったので、この本は疑問を解消してくれた。漱石が予備門入試用に塾に行っていたなんてことも分かって、昔も今も受験勉強って変わってないんだなあ…と意外な発見もあった。それにしても旧制高校のバンカラのイメージのせいで、当時から教育格差が存在していた事に思いが至らなかった。2014/05/26

Ohe Hiroyuki

3
明治から昭和初期の高等教育の変遷を負いながら、近代のわが国において誕生した「学歴貴族」の栄枯盛衰を追った一冊▼統計を用いた社会学的手法や用語を用いつつ、説明されているが、その内容は一般にもつかみやすい。イギリスのパブリックスクールとの比較もなされている▼角帽・学ランが当時(明治)のオシャレであった。こういったモードは、時によって変遷するのだが、今も学ランがあることが興味深い。▼著者は、戦前のエリート教育は、戦争で断絶したのではなく、むしろ生き延びたのだと述べるのはなかなか興味深い。2023/04/29

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