内容説明
僕らは絶望のトンネルをひた走った。出口があることを信じて──。B29の来襲に逃げ惑った少年期、体重32キロで挑んだ大学受験、国の威光を笠に着た役人との耐久レース、中小企業に寄添って歩んだ金融マン時代、組織に呆れ果てての脱サラ……。ノスタルジーに彩られた偽りの昭和史から現代人を解き放つ、覚醒のドキュメント!
感想・レビュー
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aloha0307
14
信長の棺 など何冊か読んだ加藤さんが我が父の世代であったことに驚いてしまう。郷愁のみだけで語らない剛な昭和史であった。活力に満ちていた、とか 右肩上がりを信じられた時代 とかその種のノスタルジーめかした昭和を否定されている。 終章では、「日本の自壊を食い止めるために」具体策を提言。保守体質(役所 企業)に鋭い刃を向けているのが痛快だった。 2016/11/05
Kazuo Ebihara
1
歴史小説家加藤廣氏による極私的昭和史。 戦時中の暮らしと、東京大空襲との遭遇。 戦後、日本人の変節と、飢餓による飢え。 中小企業金融公庫時代の関係省庁と金融界の秘話。 実に興味深い。 苦しみや痛みは忘れられ、 美化され始めた昭和史に警笛。 ノスタルジックな思いに浸っている場合じゃない。 2019/09/23