内容説明
【第40回すばる文学賞受賞作】千景とまゆ子。高校の同級生である二人は、10年ぶりに偶然再会し、思いがけず一緒に暮らし始める。薬剤師の千景は、とある男との逢瀬を重ねながらも、定年退職した大学の恩師「先生」に心を寄せている。叔母のスナックでアルバイトをするまゆ子は、突然家に尋ねてきた「先生」の孫とカタツムリの飼育を巡り交流を深めつつ、千景をそっと見守る。すれ違いの生活ながら、長く離れていた二人の距離は徐々に縮まっていく。そんな中、高校時代の友人の結婚式が近づき、二人はかつての自分たちの深い関係と秘密とに改めて向き合うことになる。そして……? 一番近くにいるのに、わかり合えない二人。なのにもかかわらず、寄り添う二人。愛と性、心と体の狭間で揺れ動く孤独な心象風景を、瑞々しい文体で描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
197
同級生2人が同居して、あーでもないこーでもないという話なんですが、独特な世界に誘われましたね(^^;)千景とまゆ子のそれぞれの視点から、話は進みますが最初は、なんか不思議!いや妙な違和感…。そんな感じですね。途中から理解したら、ああ、そういうことなのねと、面白く読めました。さりげなくあっさり、妙な心地よさを感じる物語でしたね。千景、まゆ子、央佑を含めた登場人物プラスかたつむり…。確かに『そういう生き物』だわと納得させられた物語でした。北海道出身の作家さん!次回作も楽しみです。2017/10/14
おしゃべりメガネ
194
すばる文学賞受賞作品で読メで気になり手にとりました。作家さんは北海道の方で、今も薬剤師として働きながら、小説を書いているそうです。読了してタイトルの持つ深い意味が伝わりました。薬剤師の「千景」とスナック勤めの「まゆ子」は高校時代の同級生で、再会したのをキッカケに一緒に暮らし始めます。「千景」の研究に関わる「先生」との穏やかなやりとりや、先生の孫「央佑」君と不思議な仲になっていく「まゆ子」とのチグハグなやりとりに、なんだかとても癒されます。なんてことない至ってフツーな風景や出来事ですが、とても印象的でした。2018/07/14
いつでも母さん
123
不思議な読後感。嫌いじゃないがこればかり続くなら困る・・『性』ってなんだろ?って、ちょっと考えちゃったなぁ。当人たちの当たり前の、何気ない会話がたんたんと綴られているだけなのに、なんとなく気になる。そんな私は第三者で傍から見てるだけなのだなぁ。2017/03/07
なゆ
104
思えば、人間って実に面倒くさい生き物だ。単純に、生まれて成長して番って命を繋いで死んでゆく…と本能のままに生きられれば楽なんだろうに、なんかやたら複雑に生きなくちゃいけない。でもそういう生き物だから仕方ない、のかな。仲がいいようでもない千景とまゆ子の微妙な同居生活と謎めいた過去に、惹き込まれた。〝そういう生き物〟という言葉がすべてを飲み込み、心地よく感じられる。ラストもふわっと曖昧な感じがいい。とても好きな感じの空気感だった。すばる文学賞受賞作ということで、今後が楽しみですね~。2017/05/27
takaC
100
ふむ。”そういう生き物”とはそういう意味だったのか。これもまた7.6%(13人に1人らしい)の話。2017/04/02
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