深い穴に落ちてしまった

個数:1
紙書籍版価格
¥1,650
  • 電子書籍
  • Reader

深い穴に落ちてしまった

  • ISBN:9784488010676

ファイル: /

内容説明

北には山脈が横たわり、海ほどもある湖をぐるりと囲んでいる森。そのまん中に穴がひとつ、口をあけている。ある日、大きな兄と小さな弟がその穴に落ちてしまった。深さおよそ7メートルの穴からどうしても出られず、何か月も木の根や虫を食べて極限状況を生きのびようとする。外界から遮断された世界で、弟は現実と怪奇と幻想が渾然一体となっためくるめく映像を見はじめる……。どうして兄弟の名前と年齢が明かされないのか。なぜ章番号が素数のみなのか。文章に織り交ぜられた不思議な暗号が示すものとは。著者によって綿密に構成され、さまざまな寓意に彩られた物語は、読後、驚愕とともに力強い感動をもたらす。暗黒時代を生きる大人のための寓話。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nuit@積読消化中

103
すごい本を読んでしまった。難しいことは語れないが、久々に読んでいて胸が苦しく、熱くなるような物語だった。読み終えた今、しばし放心状態である…。全くの予備知識なしに軽い気持ちで手に取ってしまったので、「ん?なんで穴に落ちたの?」など疑問を持ちつつもどんどん読むにつれ、瞬きの回数が減り、眼球が乾くほどに文章から目が離せないまま一気に最後まで読みきりました。この余韻、しばらく引きずりそうです。2017/04/12

Bugsy Malone

78
お気に入りさん達の感想を読んで是非とも読んでみたいと。7mの穴に落ちてしまった兄弟の壮絶なお話し。各章が素数であったり兄弟の会話の中に暗号が隠されていたりします。それ等の意味を解く前の素直な感想は、外の世界を象徴した穴の中で悲惨な状況に陥った兄弟の、虐げられ、怒りを糧にした革命家への成長物語だと感じてしまいました。ただ兄弟愛と使命に向けたひたむきさや希望とも受け取れるラストには、方法は別としても胸を打たれる思いが。スペインについては勉強不足なので実感が湧きにくかったのですが、それでも読んで良かったです。2019/11/06

めしいらず

71
広がるばかりの格差。兄弟が落ちたすり鉢を逆さまにした穴の構造は、そのまま社会のヒエラルキーの象徴。上層には富や力をほしいままにする少数の者たち。下層に行くほど逼塞する生活に喘ぐ人々で過密になっている。しかしその多くの者たちは反抗の意志を剥奪され、檻の中の動物のように従順だ。その一方、不条理への怒りの灯火を絶やさず、革命への意志を燃やし続ける者たちがいる。長い時間をかけて内側から起こるレジスタンスの波、その蜂起を期しているのだ。極限状況の中で虫や木の根を食らい泥水を啜る。それでも彼らが放っている聖性を見よ。2017/09/18

mii22.

70
読んだ本に登録はしたものの、この100頁少しの物語を私はどこまで理解できたのか。うっかり表紙につられて安易に読むべき本ではなかった!とにかく読んでいると気持ちが悪くなるのだ。そしてなかなか読み進められない、手強い本なのだ。不穏や恐怖感や嫌悪感とは別の気持ちの悪さ。寓意と暗喩に満ちた大人の童話の形はしているがそれだけではない。ただ何かに突き動かされ、はっと目を見開かされるような読後感はあった。解読出来ていない部分も多く何度か再読が必要だ。2018/03/13

鱒子

48
図書館本。ダークな大人の寓話。深い穴に落ちた年の離れた兄弟の苦悩の物語です。短いのでサックリと読めます。訳者あとがきで触れられている通り「星の王子さま」っぽい感じが少しだけしますが、この作品はあの素敵な話に比べて、あまりに辛い話です。そして、作中には色々な暗喩があるようなのですが、3回読んでもサッパリです。何が何だか分かりません。理解できた方、ぜひお教えくださいm(_ _)m 2017/04/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11271102
  • ご注意事項