内容説明
きょうだいの4人までも自殺や失踪で失った血の悲劇を背負いながらも、心ゆたかに生きようとする著者が、四季折々の日常の光景と、それによって呼び起される切実な過去の記憶との響きあいの中に、生活というものの深い味わい、生命のよろこびと哀切さを、ていねいに紡ぎだして心温まる連作掌編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
61
著者の「忍ぶ川」を読む為の予習に読む。こういうものを「自叙伝随筆」とでもいうのか、著者の小説の登場人物の事や体験した事を徒然なるままに書いている。その一編一編に著者の思いや、家族への愛情等が詰まっており読んでいて美しい。随筆の中でも当時はモノカキとして上手くいかず都落ちした時の事を書いた「ゆで卵を食べる日のこと」が印象的だった。。2015/05/22
momonnga
3
ずっと昔に国語の問題文で笹舟日記の「除夜の鐘まで」が載っていて、題名も作者も覚えてなかったけどこのお話だけはずっと心の中に残っていて探してました。このお話を見つけることができまた読む事が出来て嬉しいです。大晦日に東京から歳の離れた兄が故郷に帰ってくる。主人公は毎年兄を駅まで迎えに行くのだがどうしても声を掛ける事が出来ない。今年こそはと思うが、人がごった返す中で兄は主人公に気づかず行ってしまう。兄の背中を見ながら少し時間をかけて家に戻る。母から兄さんの顔を忘れたんだろと笑われながら兄に挨拶をする。お兄さんは2018/09/22