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内容説明
歴史上最も有名な永世中立国であるスイスを筆頭に、200年以上の歴史を持つ安全保障政策である中立政策。現在オーストリアやスウェーデン、フィンランド、トルクメニスタン、コスタリカなどが永世中立や中立主義を掲げるが、冷戦終結後中立政策は大きな岐路に立っている。一方日本では、憲法9条実行のためかつては永世中立国化が叫ばれていた時代があり、さまざまな批判を受けつつも現在でも非武装永世中立を唱える論者も存在する。中立政策は時代遅れなのか──、集団的自衛権容認という大きな舵を切った今、国際法学者が問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
21
つい最近、ウーマンラッシュアワーの村本氏が非武装中立論を唱えて話題となった。その村本氏に対し、様々なバッシングが浴びせられた。詰まるところ、非武装中立は現実的ではない、との一点で非難が浴びせられた。本当に非武装中立は現実的でないのか。そこで本書を読んでみた。本書を読む前までは、自分も非武装中立は“あり得ない”とはいかないまでも、どちらかというと、ない選択だなとは思っていた。ところがどっこい、読んでから後は、非武装中立も、現実的な選択肢どころか、“積極的に選ぶべき”選択肢に入るように思えるようになってきた。2018/01/16
樋口佳之
9
ただし、軍事的強制措置への参加は、安保理と特別協定を締結してはじめて加盟国の義務となるが、加盟国は、特別協定の締結を自国の憲法上の規定を理由にして拒否することができる(国連憲章四三条三項)。2017/01/18
HH2020
7
◎ スイスは永世中立国だと小学生でも知っているが、それ以上のことは私も含めて知る人は少ないのではないか。現在の中立国はスイスのほかにオーストリアやコスタリカなどがあり、また中立国にはいくつかの「型」があるそうだ。戦争に負けた後マッカーサーは「日本は太平洋のスイスたれ」と言ったという。憲法9条で戦争を放棄した日本は永世中立国になる道もあったのだ。軍事力による抑止は結局、際限がない。それを歴史に学んだはずであったのに。著者は最後に日本が中立国になる選択肢を控えめに提案するが検討の価値は大いにある。納得の良書。2017/03/09
乱読家 護る会支持!
3
現在の対米依存・対米従属では、戦争に我々が巻き込まれる可能性がある。 だから、武装中立を検討する余地があるのでは、、、、 現代の永世中立国は地政学的には世界の衝突地ではなく、技術力も低く、他国からは魅力の無い国々。だから、集団的自衛権の陣営に加わるよりも中立国を選択した。 一方、日本は労働者の質、技術力共に世界一。 太平洋の入り口に横たわる日本列島、戦略的価値は高い。メタンハイドレートを世界で最も有する国。 武装中立国になる為に、仮に現代の防衛費を3枚にしたら消費税の5%アップが必要、、、ありえへん。 2017/06/13
TMHR ODR
3
★×4。9条振りかざして日本も中立国になろーよ!という本なのかと思ったらそうでもなく、中立の定義、歴史、現在の日本の安保法制などを客観的に冷徹に説明してくれてる良本。これを読む前は、なんとなく日本は武装永世中立国になるべきだ、なんて考えていたけど、国際法上の中立の定義(結構ややこしい)、アメリカ様へ従属する今の安保法制じゃとうてい無理、非武装中立なんてもっと無理だと納得しました。2017/01/15