内容説明
主人公の五月が友人の結婚式で出会った栗原健太は、「女は結婚したら、家庭に入るべきや」などというド古臭い考えの男で、お互いに友人代表のスピーチの時から言い合いになる。しかし、喧嘩のできる仲というのはなかなか面白い――。そんな素直な気持ちになってきたとき、ある悲しい出来事が起きる。自分にとって大切なものをふり返ることの出来る恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
57
面白かったです。五月と栗本のやりとりがユーモアにあふれていました。古臭い栗本と口論になってしまうのは考え方の違いでしょうね。素直になれない恋心が可愛らしいと思いました。恋愛は楽しいだけでなく、苦しいところもあることを見たような気がしました。じんわりとくる恋愛小説だと感じます。2020/11/21
優希
53
心にじんわりきますね。主人公の五月が出会った男性・栗本とのテンポのいいやりとりが面白かったです。会えば喧嘩ばかりで素直になれないもどかしさみたいなのを感じました。五月の強がりだけど結婚のことで頭がいっぱいなところも可愛いです。80年代の空気が漂うのもいい感じで新鮮です。2人で田舎に行く場面は何とも言えません。山すべりからの復興の中での栗本のプロポーズが良かったです。素直になれない心が事故によって変わるんですね。とっても清々しくて素敵なお話でした。2014/08/23
coco夏ko10角
21
この時代に最初の結婚式での上司のスピーチはすごいんだろうな。ある夜、五月が父と過ごしてるときの会話いいなぁ。終盤どうなるのかとハラハラしたが最後の最後よかった。2020/04/05
とんかつラバー
16
都会育ちの五月は古風な栗本と出会うが会う度に言い合いに。しかし田舎の良さにも気づき…まったりした話かと思いきやラスト付近の展開が激しい。今は二元論で考えてしまいがちだが(好きor嫌い、賛成or反対)砂浜と波の境界線のように人間関係も押したり引いたり曖昧でいいのではないか。近所づきあいや職場づきあいも敬遠される現代だが普段からのコミニケーションって大事だよな(消防団の体育会気質や飲みニケーションで無理矢理飲ましたりするのはダメだけど)今のSNSの分断の手法を見ていたら強く思う2025/04/03
June
14
登場人物の会話のキャッチボールがテンポよく軽快に響く。五月と栗本が互いに惹かれあっていくさまがよくわかる。お互いの育った環境(故郷)を知ろうとする気持ちや、自分の故郷を周りの人々と一緒に自らも楽しみながら盛り立てていこうという姿勢は、現代で見失いがちなことだろうなぁと思う。夢野町にしても螢川にしても若者でつるんで楽しみながら町おこしに取り組んでいる所が羨ましい。町も恋愛も結婚もええかげん(ほどほど)がいいのだろうけど、その根底には無条件に愛しく思う気持ちがあってこそなんだろうなぁ‥2014/01/31